オフィス・事務所の移転マニュアル

step16ヶ月以上前 ~オフィスを探し始める前に~

移転の目的を明確にし、これから探し始める物件の条件を決めましょう。

例えば面積について「人数が増えたので広くしたい」「余分なスペースを縮小したい」、経済的な面について「賃料が高いのでコスト削減したい」、建物の設備や立地について「建物や設備が古くて不便」「駅からの距離が遠い」「企業イメージを変化させたい」「社員のモチベーションアップを図りたい」など、移転を考え始める動機があるはずです。

これらに基づいて新オフィスの賃料・広さ・立地・設備などの移転先条件が決まるので、まず始めに移転の目的を明確にしましょう。そこが曖昧なままで多くの物件を見ていると、当初の目的とずれた物件を選んでしまうこともあります。満足できる移転にするためにも、新しいオフィスに何を望むのかをきちんと整理して優先順位をつけておきましょう。

現入居オフィスの契約内容を確認しましょう。

賃貸オフィスを解約するには前もってビルのオーナーや管理会社に移転の旨を通知する必要があります。
一般的にオフィスビルの解約予告期間は3ヶ月前から6ヶ月前とされておりますので、現入居オフィスの契約書を確認しておきましょう。また解約予告期間内に中途解約しようとすると解約日までの賃料を支払わなければなりません。場合によっては現オフィスと新オフィスの両方の家賃を支払うことにもなりますので、その際は賃料だけで良いのか、共益費は含まないのかなどを契約書で確認しましょう。

また敷金はいつ返還されるのか、原状回復の範囲は、なども併せて確認しておくことが必要です。

移転時期を決めましょう。

新入居オフィスと現入居オフィス両方への家賃の二重支払いを少なくするためにも、解約予告期間から逆算しておおまかな移転時期を決めておくと良いでしょう。その際会社の繁閑期も考慮しておくと移転がスムーズなものになるでしょう。

step26ヶ月から5ヶ月前 ~実際のオフィス探し~

信頼のおける仲介会社へ物件情報の収集を依頼しましょう。

無数にあるオフィス募集情報から移転計画に沿った物件を探し出すことは容易ではありません。
そのため効率良く、密度の濃い情報を集めるためには信頼のおける仲介会社への依頼は欠かせません。

また物件検索サイトから物件を探し出せても、その家賃や設備の詳細、オーナーへの物件見学依頼などは仲介会社の方が慣れているものです。オーナーからの物件情報を多く持っていて、リアクションの速い業者を選ぶようにしましょう。

できるだけ多くの物件を見学しましょう。

移転計画に沿った物件を探し出すためにも実際に現地に行って、室内を見ることは非常に大切です。できるかぎり多くのビルを見学して比較検討してみましょう。

  • 立地・・・最寄り駅への距離、周辺の利便施設、取引先へのアクセスなどを中心に確認しましょう。実際に歩いてみることで新しい発見があるはずです。
  • 広さ・・・貸室の形、柱の有無や位置、トイレや給湯室がオフィススペースの中か外かなどを中心に確認しましょう。ギリギリの広さかな?と思ったらレイアウトプランを作成することをお勧めします。
  • 設備・・・OAフロアの有無や空調の吹き出し位置、セキュリティの仕様などを中心に確認しましょう。また温水洗浄便座の確認も忘れないようにしましょう。

step35ヶ月から4ヶ月前 ~新オフィスの契約~

候補物件が絞り込めたら具体的な契約条件を決め、入居申込みをしましょう。

入居申込書に必要事項を記載してビルオーナーもしくは管理会社へ提出します。オーナーによっては会社案内や登記簿謄本等の添付を依頼されるケースもあります。仲介会社を通じて事前に確認を取りましょう。入居申込書を受領したオーナーはこれに基づいて契約条件の受諾判断や企業調査などの入居審査を行います。入居審査に問題が無ければ、その後オーナーは契約書の作成に入ります。

契約書の内容を確認しましょう。

不動産の賃貸借契約書を見慣れていない方も多いはずです。事前に全体を読み、分からない内容や文言などがあれば仲介業者を通じてしっかり確認しておきましょう。

  • 賃料・共益費・・・取り決めた金額に間違いないでしょうか。フリーレントサービスを受けた場合は賃料発生日などを確認しましょう。また共益費に含まれる範囲も確認しておきましょう。
  • 敷金(保証金)・・・金額に間違いはないでしょうか。償却の有無、預託時期、返還時期等を確認しましょう。
  • 支払時期・・・翌月分を当月の25日まで、もしくは末日までに振り込むなどオーナーによって異なります。
  • 工事のルール・・・入居工事や原状回復工事の際の工事区分はオーナーによってかなりの違いがあります。問題が起こりやすい部分なのでしっかり確認しましょう。
  • 解約・・・解約予告時期や違約金等について確認しましょう。

契約に向けての準備をしましょう。

契約書の内容確認が終わったら、契約締結日を決め必要書類および敷金を用意しましょう。

  • 必要書類・・・会社の登記簿謄本、会社の印鑑証明書、連帯保証人(代表者)の印鑑証明書、連帯保証人(代表者)の住民票などが必要となるケースが多いです。
  • 敷金・・・ほとんどの貸主は敷金(保証金)の預託期限を契約締結日までとしていることが多いです。敷金(保証金)は高額になることが多いので、早いうちに準備を進めておきましょう。

現入居ビルのオーナーへ解約の通知をしましょう。

解約予告通知書に必要事項を記載してオーナーもしくは管理会社へ提出しましょう。この際駐車場や袖看板などの付帯契約の解約も忘れないように気をつけましょう。

step45ヶ月から4ヶ月前 ~オフィスレイアウトの準備~

トータルにサポートしてくれる会社にまとめ役になってもらうのも大きなポイントです。

レイアウトをプランニングする際には将来のことも考えておかなければいけません。将来的な増員や組織の変更などを念頭におき、都度大げさな工事にならないような配慮をしておくべきです。

役員や各部門の責任者などからの要望を聞いてプランニングの参考にするのですが、立場によっていろいろな意見や要望がでてきますので、トータルにサポートしてくれる移転コンサルティング会社にまとめ役になってもらうことが、プランニングをスムーズに進める上での大きなポイントです。

工程表を作成し、今後の業務内容をしっかり整理しておきましょう。

まずは新オフィスでの営業開始日を決めましょう。会社の繁閑期や決算期、組織改編期などを考慮した上で決定されるはずです。その後プロジェクトマネジメント会社や工事会社によって工程表が作成されますので、今後やらなければいけない業務の内容について整理しておきましょう。

主な流れに沿って打ち合わせや作業を進めていきましょう。

  • インフラの準備・・・電話の回線数の確認、サーバ移設に関する打ち合わせが必要です。現ビルでの契約関係を変更して継続することもありますので、しっかり内容の整理をしておきましょう。
  • 基本レイアウトの作成・・・まずは将来の増員や組織変更を考慮して基本プランを作成しましょう。基本プランが出来上がったら役員室や会議室などの個室、休憩室やコピー室などの共用スペースをプランニングします。その後キャビネットなどの什器を配置していきます。
  • 什器類の取りまとめ・・・現オフィスで使用している什器について、引き続き使用するものと廃棄するものを選別しましょう。

step54ヶ月から3ヶ月前 ~各業者へ発注~

レイアウトプランが決定したら各業者への発注をしましょう。

レイアウト工事以外にも通信関係工事や引越し、什器の購入先や帳票類の印刷関係などの多くの業者への発注もあります。

レイアウトプランに基づいて打ち合わせを進めていきましょう。打ち合わせを進めるうちに追加や変更が生じることもありますので、予算は多めに考えておく方が良いですが、発注する際には数社から見積もりを取り、価格だけではなくサービス内容も確認した上で発注をしましょう。(オフィス移転は建築工事、通信工事、電気工事、引越し、印刷等多数の会社への依頼をすることになり、コントロールが複雑なだけでなく移転担当者にとってはかなりの重労働です。これらをプロに任せることでミスを無くし負担を軽減させることができます。専門の移転コンサルティング会社もありますが、建設会社系、什器メーカー系、設計会社系など得意分野を持つ会社もありますので、自社の移転に合った会社を見つけましょう。)

step62ヶ月前 ~各種の届出や手続き~

各種官公庁への届出・手続きをしましょう。

法務局、税務署、都道府県税事務所、社会保険事務所、公共職業安定所、労働基準監督署、消防署、郵便局、警察署等への届出が必要になります。届出のタイミングはそれぞれの官公庁によって違いますので事前に確認しましょう。また、地域によっては提出書類が違いますので事前に確認しておきましょう。

その他の届出・手続きも忘れず行いましょう。

電話会社、取引銀行、保険会社、リース会社、新聞等や定期購読誌、加入団体・関連会社等への届出・手続きももれなく行いましょう。社内的には社員の通勤交通費の変更が生じる場合もあります。

事前に発注物を確認しておきましょう。

移転案内状、印章(ゴム印等も)、名刺、社員証明書、封筒、会社案内(地図を含む)、伝票類、ホームページ等を新しい住所で作り直す必要があります。

step71ヶ月前 ~引越しの準備~

引越しの具体的な準備をしましょう。

移転間近になって混乱しないよう、社員に対して移転作業の具体的な日程や手順などの説明をします。梱包した荷物の行き先ラベルの貼り付けや、各部門や各社員の役割分担については事前に十分に打ち合わせをしておきましょう。