企業価値を最大化するためのCRE戦略(企業不動産戦略)

5つの経営資源の最適化を図る
「ファシリティマネジメント」

2016.3.10

ファシリティマネジメント(facility management:略称FM)とは、建物、土地、設備、室内環境、ITインフラなど、企業・団体が活用している業務用不動産全体を総合的に管理・運用していく経営手法です。ここで扱われるファシリティは、「ヒト・モノ・カネ・情報」に続く第5の経営資源とも見なされており、ファシリティマネジメントを導入することで施設運用の効率化、利用者満足度の向上、知的生産性の改善、省エネルギー化の実現など、多様な効果が期待できるとされています。ちなみに、CREマネジメントとファシリティマネジメントは重複する部分も多く、日本と欧米諸国間でもそのマネジメント体系に関して異なった整理の仕方をしています。

もくじ

5つの経営資源の最適化を図る
「ファシリティマネジメント」

[1] ファシリティマネジメントとは

1980年代のアメリカで生まれた新しい経営管理方式であるファシリティマネジメントは、「公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)」によれば、以下のように定義されています。

「企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動」

ここからも分かるように、ファシリティマネジメントは、本社、支社、オフィスなどの社屋はもちろん、工場、物流施設、倉庫、店舗など、あらゆる業務用不動産とその環境を対象としています。また、ここで言う「企業・団体等」には、営利企業や官公庁、病院、学校などの教育機関、その他全ての事業体が含まれます。

[ファシリティは「第5の経営資源」]

ファシリティマネジメントを直訳すると「施設管理」となり、土地や建物、設備の維持・管理に限られそうですが、実際には、より広域的なマネジメント領域を有します。

ここでのファシリティとは、組織体が事業展開を行うために活用する土地・施設・建物・各種設備など「固定的な物的資産」と、執務空間・地域環境など「利用者の空間・環境」の両者を包括したものです。そして、ファシリティを快適・最適に活用していくためには、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの経営資源を、いかに効率的に運用していくかが求められます。

「ERP(企業資源計画)」が、この4つの経営資源の総合的な管理を目指しているのに対し、FMではファシリティという「第5の経営資源」を包含させ、それら全資産の戦略的な活用を目標としていきます。

[FMが日本で必要とされる社会的背景]

資本経済が成熟し、バブル崩壊や様々な不況、金融危機を経験する中で大きな転換期を迎えている日本経済。さらに、最近では、ファシリティに関する社会問題が多発していることからファシリティマネジメントへの注目度は大きな高まりを見せています。その社会的背景は、以下の通りです。

(1)スクラップ&ビルドから保有資産の有効活用へ

土地神話が崩壊して久しく長期的な低成長時代を歩んでいく中で、日本経済は「スクラップ&ビルドの時代」から「手元にある資産の有効活用を図る時代」に移り変わっています。

(2)IT環境やテクノロジーの飛躍的進化

パソコンやコンピューターなどテクノロジーの進化により、設計段階から現場施工、竣工後の施設維持管理や保守点検、情報分析に至るまで、新たなソリューションが提示され得る時代がやってきました。それらを経営戦略に有機的に紐付けるものとしてFMの管理手法が注目されています。

(3)企業の社会的責任(CSR)の高次元化

阪神淡路大震災や東日本大震災など度重なる自然災害を経験したことで、既存のBCP(Business continuity planning/事業継続計画)による防災や事故防止策に対する限界が露呈、環境問題や地域課題も多様化・複雑化したことでそれらに対する対策の根本的見直しが切に求められています。

[従来の施設管理(管財、営繕)との違い]

日本の経営において、ファシリティは「不変・不朽の財産」と見なされており、経営的な視点とは切り離されて考えられていました。また、その管理・運営のされ方も管財や営繕という施設管理的な側面にばかりに主軸が置かれていました。

しかし、ファシリティマネジメントでは、経営的な観点からファシリティの「より良いあり方」を追求し、ライフサイクルや将来を見越した上で立案から運営まで総合的なファシリティ管理を行っていきます。その管理活動は、下記の3つの実務的要素から成り立っています。

(1)経営戦略面

すべてのファシリティの最適な在り方を総合的・経営的に追究

(2)施設管理面

各設備が最適な状態となるよう改善・維持・管理

(3)日常業務面

日々行われる清掃・保全・修繕業務の計画、効率的・科学的方法の決定、セキュリティやケイタリングといったサービス分野の総合的カバー

これらの実現のために、FM推進連絡協議会は「FM標準業務サイクル」を設定して、ファシリティマネジメントの体系的な導入・推進を図る活動を行っています。

[2] ファシリティマネジメントの目的・効果

ファシリティマネジメントの目的は、企業が使用するファシリティの全体最適化にあります。それには、固定資産について「資産価値・使用価値の最大化」と「コストの最小化」という2つのベクトルの要求を両立させる必要があります。また、公共性を有する企業不動産には、良好な社会資本としての適切なあり方が求められており、それらを踏まえた上で、経営的な視点から期待されるファシリティマネジメントの効果をまとめると、以下の4点に要約されます。

(1)コストミニマム

LCC(ライフサイクルコスト)、設備投資、施設運営費の最小化

(2)エフェクトマキシマム

利用者の満足度と生産性の最大化

(3)フレキシビリティ

施設管理業務を標準化(属人性を排除)することで、将来的な経営環境の変化に柔軟に対応

(4)社会・環境対応

企業の社会的責任(CSR)に関する諸活動、環境問題への効果的な取り組みの実施

[3] ファシリティマネジメントとCREマネジメント

ともに事業用不動産を扱うファシリティマネジメントとCREマネジメントについて、アメリカでは「運営維持のFM」と「戦略策定・プロジェクト管理のCRE」のように業務分野が明確に分けられていますが、日本ではその境界線は曖昧です。

※日本の不動産関連業務体系についての詳細は、下記、TOPICSを参照。

1980年代初頭にアメリカで誕生したFMという概念が日本に本格的にもたらされたのは、1987年、「日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)」が創設されてからのことでした。その後、JFMAは、1994年には「FMガイドブック(標準書)」を出版して独自にFMの業務体系を整理し、1997年にはFM資格試験を開始。2007年には、日本におけるFMの普及・定着を図る目的で「JFMA FORUM(日本ファシリティマネジメント大会)」の開催を開始しました。

一方、FMが日本に紹介され始めたころ、CRE戦略の職能は日本企業には存在しておらず、施設運営・維持管理を主とする米国型のFM一本槍で戦略性に欠けていました。そこで、FMとCREマネジメントを統合し、戦略策定、プロジェクト立案から運営維持、評価までを包括した「PDCAサイクル(FMサイクル)」を回していくという、「日本的なFMモデル」が創造されたのです。
そういう意味において、CREマネジメントは、日本ではまさにFMの一部であると言えます。

[4] 日本におけるファシリティマネジメント

(1)国の取り組み

公的不動産(PRE:Public Real Estate)に対しても、ファシリティマネジメントは有効です。ここでは、関係省庁となる国土交通省、財務省が取り組む施策・方針をご紹介します。

[国土交通省]

2006年(平成18年)、社会資本設備審議会建築分科会によって官公庁施設部会が設置され、国家機関の建築物が直面している課題について、様々な議論がなされました。その結果、「国家機関の建築物を良質なストックとして整備・活用するための官庁営繕行政のあり方について」と題された建議がまとめられ、その中で効果的なファシリティマネジメントに取組むべきとしています。

[財務省]

財務省では、「新成長戦略」(2010年/平成22年6月18日、閣議決定)の策定にあたり、未利用国有地等の有効活用というテーマについて、検討が重ねられてきました。そして、有識者や民間実務者、さらには一般の人々からの提案や意見も踏まえた上でその検討結果を「新成長戦略における国有財産の有効活用について」として公表。その中で、庁舎等施設の効率利用、多機能化や集約化、そして、緑の都市化(グリーン化)への貢献のため、ファシリティマネジメントの手法を採用していくことが明記されています。

(2)地方自治体(都道府県・市町村)の取り組み

国と同じく地方自治体においても、財政逼迫、人口減少などの要因が重なり、近年ファシリティマネジメントが注目されています。ここでは、実際の導入事例を一部ご紹介します。

・北海道
北海道では、札幌医大や教育庁、警察本部などを含んだ全庁各部から構成される推進会議を設置。ファシリティコストの最小化と道民サービスの最大化を目的に、北海道の総務部総務課によって、「北海道のファシリティマネジメントのページ」が作成されています。

・青森県
青森県では、2004(平成16)年4月からファシリティマネジメントの導入に対する取り組みを始め、2007(平成19)年には財産管理課を設置。2008(平成20)年には、第2回「日本ファシリティマネジメント大賞」(優秀FM賞・最優秀賞「鵜澤賞」)を受賞しています。

・神奈川県
神奈川県では、FMの実践のため「神奈川県ファシリティマネジメント推進方針」を策定しています。県有施設や都市基盤を合わせた公共不動産全体にかかる維持修繕コスト・設備管理費について、大きい視野を持って現状と将来像をリンクさせながら、「県公共施設の見える化」としてまとめています。

・京都府
2008(平成20)年に「府有財産戦略活用推進本部設置要綱」を施行し、「府有財産戦略活用推進本部」を設置。FMの手法を活用することで、府民サービスの最大化を目指しています。

・群馬県前橋市
2012年閉店した既存商業施設をコンバージョンにより美術館「アーツ前橋」へと改修したプロジェクト。建物の建て直しの費用を抑えつつ、中心市街地の発信拠点施設へと見事に生まれ変わらせた事例です。この「アーツ前橋」は、2015年には「第24回BELCA賞ベストリフォーム部門賞」を受賞しています。改修施工者は、パナソニックESファシリティエンジニアリングや株式会社ヤマトなどです。

・東京都三鷹市
三鷹市では、平成20年度の市の予算案の中で「未来への投資」の本格スタートを打ち出し、「三鷹市都市再生ビジョン」を策定。「三鷹市におけるファシリティ・マネジメントの推進に関する基本的方向」を踏まえた上で、体制や組織改正のあり方、公共施設の耐震や再配置など、FMを進めるにあたっての今後の施策の方向性・検討項目等を提示しています。また、三鷹市は、「第5回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)」の最優秀賞を受賞しています。

・千葉県佐倉市
佐倉市では、2007(平成19)年4月、FM担当が建築指導課内に設置され、専任職員1名を庁内公募によって配置。そうして、発表された「佐倉市ファシリティマネジメント推進基本方針」に従い、諸管轄部課・施設ごとに管理されていた分散管理体制が改められ、広い視野から横断的に土地や建物を統括する「資産管理経営室」が設置されました。現在では、公有資産におけるファシリティマネジメントシステムを構築する体制も整い、FM情報のデータベースを整理し一元管理する「見える化」も推進されています。

・千葉県流山市
流山市では、保有する600棟近い建築物(平成25年3月31日現在の財産台帳による)を公有財産と捉え、自治体の経営活動に十全に活かすため、経営戦略マネジメントやFMの手法を積極的に取り入れています。

・愛知県北名古屋市
名古屋市では、「アセットマネジメント推進プランによる取り組み」が推進中。対象である市設建築物に対する「応急保全の実施」「長寿化の推進」「維持管理の効率化」等が鋭意進められ、経費の抑制と平準化が図られていると、国土交通省のホームページにおいて報告されています。

・大阪府大阪市
大阪市では、「大阪市都市整備局公共建築部ファシリティマネジメント課」が中心となり、また、関係各局からなる資産流動化プロジェクト施設チームもそれと恊働しながら、市設建築物についてのファシリティマネジメントが進められています。

(3)企業・民間の取り組み

国や地方自治体だけでなく、日本の民間企業・団体の多くも経営改革を迫られています。なかでも、企業の経営を著しく圧迫しているのが、先のバブル時代に急増した施設にかかる多額な維持管理費・マネジメントコストです。これらの施設関係費は人件費に次いで大きいウエイトを占めるものの、未だ十分な対策は採られていないというのが現状です。

その上、バブル時代の設備は、円滑な業務推進、省エネルギー、環境問題、防災上の観点から、改善する必要のあるものがきわめて多く、今後、いかに効果的にファシリティマネジメントを実施していくかが、日本経済の健全化へのひとつの条件ともなっていくでしょう。

[5] 海外におけるファシリティマネジメント

日本のファシリティマネジメントは、財務・品質・供給の3つの視点に立って経営と連携しながら、PDCAのFMサイクルを回していくという、総合的かつ体系的なものとして整備されています。しかし、これはあくまでも日本独自のビジネススタイルに準拠したモデルであるため、グローバルモデルに無関心で良いという訳ではありません。世界のCRE・ファシリティマネジメントの現況や方法論に目を向けておくことも、非常に意義のあることです。

日本では、企業のファシリティ(の一部)を、総務部や施設部系の社員が担当している例が多く見られます。ここでのFM業務は、サラリーマンとしての人事異動の一環で回ってきた役割であり、次の異動によっていずれは手離れしていく仕事と言えます。
一方、グローバル企業におけるファシリティマネジャーは、プロとしての自覚と職能を有しています。例えば、米国に本部を置く「IFMA」が、アメリカ・カナダのファシリティマネージャー(約4000名)に実施した調査結果によると、彼らが修めた大学の専攻は「マネジメントやMBA系」が多く、建築・インテリア関係など「ハード・技術系」の出身者は、むしろ少数派でした。対する日本国内のファシリティマネジャーは、「ハード・技術系」の出身者が圧倒的に多く、かつ、男性が過半数を占めています。

また、欧米では、ファシリティマネジャーは一般職種よりも3割も平均収入が高く、大変な人気職種です。このように、報酬面でもプロフェッショナルが育成される環境があり、FMを教える大学の数も非常に豊富です。例えば、ヨーロッパ・オランダでは、大学だけで9校、その内、5校に大学院が設けられています。一方、日本では名古屋大学ファシリティマネジメント研究会(通称;名大FM研究会)など僅かな教育機関があるばかりで、欧米と比較するとプロを育てる人材育成の場は不足しているというのが現状です。

TOPICS

各団体の定義から見るファシリティマネジメント

FMは業務内容や対象分野が多岐に渡り、かつ時代によってその認識のされ方も流動的です。そのため、文献・研究者や各関連団体の解釈によって、それぞれ微妙にニュアンスの異なる表現で定義付けされています。

[日本ファシリティマネジメント協会:JFMA(Japan Facility Management Association/ジャフマ)]

「企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動」と定義。このように、同団体ではFMを統括的なマネジメント手法として捉え、「FM標準業務サイクル」を設定した上で、体系的なFMの導入・普及を推進しています。

[国際ファシリティマネジメント協会:IFMA(International Facility Management Association/イフマ)]

「ファシリティマネジメントとは、効率的な執務環境を提供するために、実証された管理業務と最新の技術知識を結び付けることであり、生産性の高い執務環境を計画、提供し、管理する経営活動である」と定義。このように、米国IFMAによる定義ではFMの機能・目的が明快に提示されています。

[ファシリティマネジメント推進連絡協議会]

「総解説ファシリティマネジメント(FM推進連絡協議会編/日本経済新聞社発行)」の中で、「企業・団体等が組織活動のために施設とその環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動」と定義。

※ちなみに、「FM推進連絡協議会」とは、日本ファシリティマネジメント推進協会(JFMA)、建築・設備維持保全推進協会(BELKA)、ニューオフィス推進協議会(NOPA)の社団法人3団体による協議会です。法人格はありません。

[国土交通省]

「官庁施設のストック全体としての質が最適となるよう、既存の施設を有効活用しつつ、複数の官庁施設を群として捉えた施設計画の策定等により、総合的に企画・管理し、整備・活用する手法」と定義。また、効果的にFMを実施するために財務省と協力・連携して使用する国家機関の調整を行いながら、枠組みを設けることが望ましいとしています。

[米国議会図書館:the Library of congress]

「FMとは組織における人と業務に対応して、物理的な職場空間を最も充実したものにする実務であり、経営学、建築学、行動科学、管理工学の諸原理が統合された分野である」と定義を登録。ファシリティマネジメントに必要となる専門知識、学問分野が示されています。

[建設省(現・国土交通省)FM研究委員会・基本検討部会案]

「施設の総合的・戦略的な企画・運営を通じて、経営者・施設使用者双方の諸要求を、社会的・文化的な資産の整備へと結びつけていく手法・技術である」と答申案の中で述べています。

[オランダファシリティマネジメント協会:NEFMA(The Netherlands Facility Management Association)]

「社会環境の変化に対して、効率的、柔軟に対応していくため、建物、サービス、付属物(家具・インテリア等)についての活用を、総合的に計画し、実施すること」とされています。

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ファシリティマネジメントと資格

ファシリティマネジメントに関する資格には、以下のようなものがあります。

[認定ファシリティマネジャー]

「認定ファシリティマネジャー(CFMJ: Certified Facility Manager of Japan)」は、公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)、一般社団法人ニューオフィス推進協会(NOPA)、公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA)の3団体が実施している資格制度です。1997年度から始まり、建設等のプロジェクト管理や不動産取得・賃貸借など、FMに必要な専門知識・能力についての試験が行われます。合格者は新規登録をする際、実務経験証明書の提出が求められます。ちなみに、資格の有効期限は5年。その有効期限ごとに、更新講習を受ける必要があります。

※参考:認定ファシリティマネジャー(CFMJ) 資格 試験案内について

[不動産証券化協会認定マスター]

2006(平成18)年に一般公開された「不動産証券化協会認定マスター資格制度」は、不動産証券化市場の健全な発展を担う専門家を育てるための実践的な育成プログラムです。「一般社団法人不動産証券化協会(ARES:エイリス)」が実施するもので、WEB講義での「マスター養成講座(コース1)」と、レポート提出とスクーリングでの確認テストを伴う「マスター養成講座演習編(コース2)」を修了した後、業務経験に関する審査を受け、金融や不動産分野での2年以上の実務経験がある者はマスター、実務経験のない者はアソシエイトとして認定されます。資格取得後は、「1.年間登録料の納入」「2.継続教育の受講」「3.倫理行動のモニタリング」「4.資格更新の際の審査」といった4つの義務が課せられます。

[建築物環境衛生管理技術者]

建築物環境衛生管理技術者とは、特定建築物の環境衛生の維持管理に関する監督を行うもので、通称「ビル管理技術者」と呼ばれています。厚生労働大臣指定の試験機関「公益財団法人日本建築衛生管理教育センター(ビル管理教育センター)」が実施する国家試験に合格した者、または、「建築物環境衛生管理技術者登録講習会」の全講座・課程を納め良好な成績を得た者に対して、免状が交付されます(交付申請は厚生労働大臣へ)。一部例外もありますが、面積3000㎡以上の特定建築物においては、建築物環境衛生管理技術者の選任義務が法律で定められています。

※参考:厚生労働省・建築物環境衛生管理技術者について

TOPICS

日本の不動産関連業務体系について

「CREマネジメント」と「民間ファシリティマネジメント」はともに民間の事業用不動産を対象にし、マネジメント領域の多くが重複しますが、それ以外の日本における不動産関連業務については、どのように体系化・カテゴリ分類がなされているのでしょうか。以下、それぞれの部門について説明していきます。

(1)プロパティマネジメント(PM)

[対象]民間の投資用不動産
施設の運用・維持といった物理的な管理業務を、オーナーに代わって行う「不動産経営代行業」のこと。具体的には、「テナント誘致・交渉・営業」、「賃貸借業務の代行(賃料・共益費などの請求・回収)」、「建物・ビル管理」、「会計管理」などがあります。

(2)アセットマネジメント(AM)

[対象]民間の投資用不動産
資産(投資用不動産)の管理・運用を所有者・投資家に代わって請け負う「不動産経営代行業」のこと。一般には、投資用不動産や株式・債券、その他金融資産の管理代行・リスクマネジメント等を実施していきます。PMが不動産の物理的管理や賃借人との契約管理などといったオペレーション業務を主とするのに対し、AMでは対象の効率性・利回りの最大化を目的に、PMの選択、PMに対する指示なども行っていきます。

(3)プロジェクトマネジメント(PM)

設計・建設に関わる全分野・全行程において、発注者の要望に基づき最適なマネジメントを実施していくのがプロジェクトマネジャーの役割です。具体的には、資金調達からコスト・スケジュール・品質管理など。

(4)コンストラクションマネジメント(CM)

「プロジェクトマネジメント(PM)」と「施工者」の間に、第三者性を有する専門職として立つのが「コンストラクションマネジメント(CM)」です。技術的な中立性を保ちながら、コンストラクションマネジャー(CMr)が企画から施工段階まで、建設プロジェクト全体を、発注者・設計者とともに管理運営していきます。

(5)PREマネジメント

[対象]公共の事業用不動産
官公庁や地方公共団体が所有する「公的不動産(PRE:Public Real Estate)」を、より戦略的に管理し、より適正な所有と利用を促していこうという戦略マネジメント・公共施設マネジメントのこと。売却戦略や資金運用(債務返済等を含む)、PFI※やファンドを活用した投資スキームの作成など、財務・投資戦略面を主として担っていくほか、ポートフォリオ管理や施設統廃合計画など、不動産の建設や運用管理等の領域もカバーするため、後述する「公共ファシリティマネジメント」と重複する部分もあります。

※内閣府HP参照:「PFI」とは、民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法の事。

(6)公共ファシリティマネジメント

[対象]公共の事業用不動産
民間の事業用不動産を管理・運営する「民間ファシリティマネジメント」に対して、各地方自治体が持つ公共施設のマネジメント課題に対してアプローチしていくのが「公共ファシリティマネジメント」です。公有資産活用戦略やパートナー選定など、不動産の運用管理領域を担う点はPREマネジメントと重複しますが、エネルギー・ITインフラ管理など施設・設備管理部門は公共FMが主にカバーしていきます。

このページで登場する「CRE」用語

管財・営繕
管財とは、財産・財務を管理すること。営繕とは、建築物を新築または修理(増築、修繕、模様替え等を含む)すること。
FM標準業務サイクル
団体・組織が保有する固定資産の全体最適化のために設定された「PDCAサイクル」のこと。P.F.ドラッカーの目標管理の考え方に基づいて、戦略、中長期実行計画、プロジェクト管理、運営、評価へと、PLAN・DO・CHECK・ACTの業務プロセスを回していく。

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