企業価値を最大化するためのCRE戦略(企業不動産戦略)
遊休不動産や遊休地活用は
CRE戦略の重要な課題
2015.9.2
遊休不動産を未活用のまま所有しているだけでは税金が発生し多大なコストになります。企業の不動産戦略において、不動産の種類や立地、資産状況に応じた活用計画を立てて実行することが大きな関心事となっています。土地に新たに建物を建築したり、既存の施設を用途変更したり、加えて近年では太陽光発電事業などにも、その関心が広がっています。今回のコラムでは、遊休不動産の代表的な活用手法について、具体例を交えてご紹介したいと思います。
もくじ
- [1]企業不動産における遊休不動産・遊休地
- [2]遊休地活用事例の紹介
- (1)オフィスビル
- (2)ホテル
- (3)物流倉庫(貸倉庫・貸工場)
- (4)ヘルスケア施設(医療施設・介護施設)
- (5)賃貸マンション・アパート
- (6)トランクルーム・レンタル収納スペース・コンテナボックス
- (7)駐車場
- (8)その他の活用策(農地・太陽光発電事業など)

企業不動産における遊休不動産・遊休地
現状、企業の所有不動産の状況について、国土交通省が公表している「法人土地・建物基本調査の結果(平成25年度調査速報)」によれば、約60%の企業が事業用不動産(自社用、事業所用、工場用土地、社宅用、福利厚生施設用等)を所有し、大部分が事業の用として活用されているといいます。一方で、保有する土地の利用については、首都圏以外を中心に空き地や駐車場などの低・未利用の土地も存在しています。遊休不動産について詳細な統計データがないため実態は不明ですが、簡易な駐車場や資材置場など、暫定的に利用されているもの以外の空き地等は、約2.4万件に上ると言われています。
企業不動産における遊休不動産は、事業用として当初は目的を持って取得された不動産であるはずが、少子化高齢化やライフスタイルの変化、企業のグローバル化に伴う生産拠点の移転、さらにはインターネットを活用した電子商取引の普及など、企業不動産のあり方が大きく変化した関係で、事業の用に利用されなくなったことが原因として考えられます。新しい投資として建物を建築したり、土地を整備するには、投資回収が見込めなければ企業としても行動に移すことができず、また売却の活動をしたものの買い手が見つからなかったために、未利用のまま遊休不動産となったケースも少なくありません。
昨今、不動産マーケットは、アベノミクスの下で景気回復や長期的な低金利などを背景に、土地価格の上昇が続いています。企業は会計基準の変更、経営のさらなる効率化、そしてステークホルダーへの経営に対する説明責任などが厳しさを増す中、所有不動産の戦略的な利活用においてもCRE戦略の実践が重視されていますので、遊休固定資産(遊休地・遊休不動産)についても、徐々に戦略的な処分や有効活用の動きが増えていくと考えられます。
遊休地活用事例の紹介
それでは、実際の活用方法を紹介していきます。
(1)賃貸オフィス
ビジネス立地であれば収益性の高さが賃貸オフィスの魅力です。
メリットは、賃貸マンションやアパートに比べて賃料単価が大幅に高いことや、相続税評価額の軽減や所得税節税につながること。そして、居住用物件よりも建築基準法の要件が緩いので周辺環境の制約を受けにくい点などが挙げられます。
デメリットとしては、景気の変動を受けやすく、住宅用途ではないので都市計画税・固定資産税評価の優遇措置がありません。また、OA設備や高い電気容量を必要とするなど居住用物件に比べて建築コストがかかる傾向にあります。
リスクもありますが、立地条件とニーズが合えばチャレンジする価値は大いにあるでしょう。
(2)ホテル
日本国内のホテルマーケットは回復傾向にあります。円安、LCC(格安航空会社)の増加、アジア諸国へのビザ発給要件緩和などを背景に訪日外国人が増加しているため、ホテルの稼働率もバブル期を超えるほどの高水準で推移しています。こういった訪日外国人などの堅調な需要が底支えしており、ホテルとして利用するのは、安定した活用方法と考えられます。
都心の高級ホテルも建て替えや大規模リニューアルを実施していますが、その一方で、中規模の宿泊に特化したホテルの開発も増加しています。なお、都心では開発用地の確保が限定的であるため、老朽化したオフィスビルを建て替えたり、建築費高騰を背景に既存の建物をリノベーションやコンバージョンする事例も増えています。また関西国際空港はLCCの就航・増便で先行しているため、大阪、京都や神戸などでは新しいホテルの開発が進められています。今後、各地方空港もLCCの誘致を推進しており、空港や観光地周辺でさらなる需要が見込まれる可能性があるかもしれません。
(3)物流倉庫(貸倉庫・貸工場)
主要都市の大型物流倉庫マーケットは、2013年ごろから高い水準で新規物件の供給が行われています。供給者としては、外資系開発事業者や国内の不動産デベロッパーを初めとした不動産会社や商社に至るまで多様なプレーヤーが参入し大型物流施設物件は増える一方、物流の荷物量自体はさほど増加していない状況です。企業は厳しい競争やグローバル化の中で、物流の効率化・コストの適正化をCRE戦略や経営努力により取り組んだ結果として、物件の統合化や業務の外注化が進んだのです。
東京では、輸送の利便性から、交通の要所となる空港や港、高速道路のインターチェンジなどに隣接した立地が望まれています。これまで湾岸エリアや国道16号線沿いを中心に集まって物流倉庫街を形成していましたが、最近では圏央道の開通に伴い、神奈川県相模原や埼玉県久喜などでニーズが高まっています。また、物流物件数が不足しているため、堅調な入居率を確保できるものと考えられます。新規供給は当面継続するものの建物規模も大きいため、現在の建築費高騰の影響を受けやすい状況にあります。
関西では湾岸エリアが物流拠点の中心となっていましたが、最近では内陸部の工場閉鎖や工場団地などの用地への引き合いが高まりつつあります。
また建物を開発せずに、事業用定期借地権として敷地を貸し出す活用方法もあります。期間も10年間から50年未満と選択でき、契約満了後は更地として変換されるのでリスクが少ない活用方法と言えます。
(4)ヘルスケア施設(医療施設・介護施設)
近年、ヘルスケアという表現を見かけるようになりました。高齢者を対象とした賃貸マンションや有料老人ホーム等の施設、病院等の医療施設を指します。日本では高齢者(65歳以上)人口が2040年まで急速に増加し、割合は全人口の35%を超える見通し。こういった背景を元に、シニア向け施設の供給を増やす動きが始まっています。現状、個人や法人等の土地所有者による有効活用案件としての施設が増えてきており、供給を促進するために、証券化やJ-REIT・私募ファンドといった不動産投資資金の活用も視野に入れられ、2015年3月には、三井住友銀行等をスポンサーとするヘルスケア&メディカル投資法人が上場に至る程、成長が期待できる分野としてその動向に注目が集まっています。
(5)賃貸マンション・アパート
遊休地・遊休不動産の活用として、オフィスビルとともに代表的な事例として賃貸マンション・アパートがあります。立地環境が影響するものの、景気による変動の影響が少なく、安定しています。住宅は入れ替えサイクルが比較的短くても、部屋数分、リスクを細分化して運営していくことが可能だからです。とくに近年は持ち家か賃貸かの選択で、若い世代を中心に賃貸志向が高まりを見せていることも、賃貸マンション・アパートが人気を集めている要因のひとつになっています。DINKS(ディンクス)や単身者向け住宅では、1階にコンビニエンスストアを誘致して、食材・日用品、金融機関、宅急便の受け取りといった生活利便性を高めるような動きもあります。そのほか、節税効果として、一定の条件を満たすことで固定資産税や都市計画税が軽減される特例があります。
(6)トランクルーム・レンタル収納スペース・コンテナボックス
いずれも設置と撤去が容易である点が大きなメリット。また、利用者は荷物の預け入れ・受け取りに際して、車で来場するか、または近隣住民が利用するため、立地環境に左右されにくく、駅から離れたところや、日当たりが悪い場所、変形地や狭小地などでも活用できます。トランクルームならば既存ビルを活用することも可能です。
(7)駐車場
駐車場もすぐに始められる遊休地の活用法です。遊休土地をロープで区切るだけの屋外駐車場(青空駐車場)から、立体駐車場、タワーパーキングやコインパーキングなど、様々な経営形態があります。手軽に設置や撤去が行えるので、用途変更を検討する期間だけの一時的な活用もでき、速やかに現金収入が得られる活用方法です。立体駐車場やタワー型の機械式駐車場は建物のイニシャルコストがあるため、投資回収に一定の時間を要します。
メリットは、店舗やオフィスビルを建てることができない住宅地区でも活用でき、駅から距離のある場所でも需要の見込みがあることです。都市部などでは路上駐車や違法駐車の抑制といった地域貢献の側面も持っています。デメリットは、固定資産税や都市計画税については更地評価となって節税効果が見込めないことです。立地によっては空車リスクもありますが、駐車場の上に店舗や事務所を併設する活用例もあります。
(8)その他の活用策(農地・太陽光発電事業など)
都市部の遊休不動産なら、活用次第で収益をあげることは十分に考えられますが、一方で郊外の遊休地などはどうでしょうか。オフィスビルを建てたり、集合住宅を建てたりするには適していない立地も当然考えられます。中でも人口減少に伴う弊害として空き家問題のほかに、事業を行う後継者が少なく荒れるだけの農地や田畑、放置された山林、原野といった地方の中山間地域、用途の少ない田舎の土地が増えているという現況があります。農家が使わなくなった農用地の売却には農業委員会の許可が必要なことから、現在では休耕地となった農業用地や放棄された耕作地の売買や活用についての無料相談会なども積極的に行われています。また、各都道府県の農業委員会や第三セクターである農地中間管理機構(農地集積バンクと呼ぶこともある)といった第三者の支援を受けることも可能です。
最近では遊休地や遊休農地を市民農園や体験農園として活用するケースもあり、個性的なものとしてはシェア農地として利用する方法があります。シェア農地というのは、広い農園を小分けして貸し出すものです。主に都会暮らしの方などを対象に、週末だけでも都心を離れる機会を作り郊外へと向かわせることで、自然に触れて農作業を誰にでも楽しんでもらうことができるよう運営されています。エコロジーへの意識の高まりを受け、東京からアクセスしやすい神奈川や埼玉などでは要望が多くキャンセル待ちの農園もあるほどです。収益性に優れているというわけではありませんが、自分たちで作ったものを自分たちで食べるという喜びを提供することができる事業です。
そのほかにも、近年、注目されている太陽光発電事業への転用があります。マンションやビル、商業施設などにソーラーパネルを設置することでも省エネ効果や温暖化対策に貢献することはできますが、近年では、遊休地に大規模な太陽光発電システム(メガソーラー)を設置するケースが増えてきています。基礎を固定するために地盤改良しなければいけないケースもありますが、自前の太陽光発電所を持つことで、売電による収益性が期待できる事業を始めることができます。それが産業用太陽光発電と呼ばれるもので、交通の便が悪く、ビルや共同住宅などとしては使えない郊外にある遊休地の新たな活用法として注目されています。最新のものでは、気候によるばらつきを抑制し出力を安定させるために、大型蓄電池を備えたメガソーラーも登場しています。
更地に「野立て太陽光発電システム」を設置すれば、発電自体はすぐに開始できますが、発電事業への参入は事前に管轄する官庁への申請が必要です。電力の固定買取制度を利用するためには、設備などが適合するものか認定を受ける必要があるからです。設置にあたっては国や各自治体による補助金や助成制度が利用できるケースもありますが、市町村や都道府県によって内容が異なるので事前に問い合わせることも忘れてはいけません。補助金を受けなくても認定を受けることで、取得価額の30%相当を特別償却として普通償却に加えることができるようになるなど、税制上のメリットもあります。
将来的には規模を拡大して地域全体で電力の需給バランスをコントロールできる「スマートグリッド構想」において、重要な役割を担うことも期待されていますが、太陽光発電への投資は東日本大震災を契機に注目されるようになったばかりで未知数の部分も多々あります。とくに買取制度や補助金制度などについては、これから先に改定が行われることも考えられますし、立地によっては発電量が安定しないというリスクもあります。そのほかにも、一度設置すると撤去や売却が簡単にできないというデメリットも考えられます。実際に事業として太陽光発電を遊休地の活用に選ぶならば、投資コストの回収なども試算して慎重に検討することが求められるでしょう。
また、農地の場合は、完全に発電事業へ転用する方策のほか、農園としても利用しながらその上にソーラーシステムを設置する「営農型」ならば、例外的に太陽光発電を副収入とすることができます。
また、農地の場合は、完全に発電事業へ転用する方法のほか、農園としても利用しながらその上にソーラーシステムを設置する「営農型」という方法もあります。独自の規制で保護されてきたので、耕作以外での農地利用を例外的に認めるこの営農型だと、太陽光発電を副収入とすることができます。
TOPICS
法人土地・建物基本調査
国土交通省では全国の法人が所有する土地・建物の実態把握のため、5年周期で「法人土地・建物基本調査」を実施しており、最新は平成25年に実施した調査で、資本金1億円以上の企業約34,000社を対象としたもの。調査結果白書を以下に一部抜粋します。,000社を対象としたもの。調査結果速報を以下に一部抜粋します。
平成25年度に実施した調査(調査対象31,213法人、回答23,824法人)の結果によると、平成25年1月1日時点における「資本金1億円以上の会社法人」(以下、「法人」という。)の土地の所有、取引及び利用の状況は次のとおりとなっている。自社用、事業所用、工場用土地、社宅用、福利厚生施設用等の「事業用資産」を所有している法人は1万3986法人(全体の58.7%)、他者への販売を目的として所有する「棚卸資産」を所有している法人は947法人(同4.0%)。
法人が所有する土地の総面積は約91億1000万㎡で、このうち、「事業用資産」が約89億㎡、「棚卸資産」が約1億6000万㎡となっている。また、「宅地など」(「農地・林地」以外の土地)の取得時期をみると、「事業用資産」では、平成19年以前に取得したものが9割を占めている。
法人が所有する土地の利用状況をみると、事業用資産では「利用地面積」が97.0%となっており、ほとんどが自社用、事業所用、工場用土地などの企業活動に使用されている。低・未利用地面積の割合を業種(48区分)別にみると、事業用資産では「鉱業、採石業、砂利採取業」が11.4%と最も高く、次いで「卸売業」が7.8%、「総合工事業」が6.9%、「非鉄金属製造業」が6.8%、「鉄鋼業」が5.1%となっている。低・未利用地面積を圏域区分別にみると、全国約2億8000万㎡のうち地方圏が2億3000万㎡を占めている。また、所有面積に対する低・未利用地面積の割合を圏域区分別にみると、事業用資産では三大都市圏計が地方圏より高くなっている。
TOPICS
トランクルームとレンタル収納スペースの違い
サービス形態で大きく次の二つに分類されます。
①倉庫業者の営むトランクルーム
②非倉庫業者の営むレンタル収納スペース
倉庫業者の「トランクルーム」は、基本的に荷物を預けるサービス。スペースを割り当てられて自由に物品を置くというよりは、物品を一つ一つ業者に預けて保管をお願いするサービスです。その契約は、物品を預ける寄託契約となり、預けた荷物は業者が責任を持って保管するため、破損や汚損については補償を受けられます。サービス内容は国土交通省の標準トランクルームサービス約款(やっかん)で定められており、一定の基準を満たした優良トランクルーム(認定トランクルームともいう)を運営する事業者は認定マークを掲げています。
非倉庫業者の「レンタル収納スペース」は、不動産賃貸借契約に基づいたサービスです。つまり、物を置くスペースを借りる契約です。不動産業者が運営を行っている場合が多く、ビルの中で温度管理、湿度調節を行っているサービスもあれば、屋外コンテナボックスもあります。契約上は場所を借りているので、自由に出入りできるサービスが多く、24時間対応も少なくありません。防犯セキュリティの設置や保険も運営会社によります。また屋外型のバイク保管専用のバイクコンテナもあります。
(寄託契約について:寄託契約とは、物品を人に預けて保管や処置を依頼するものです。原則的に無償とされていますが、倉庫営業における商事寄託では預かった側の責任が加重され、厳重な保管責任を定めています。)
TOPICS
定期借地権について
遊休地活用法として、建物を建てずに土地だけを貸し出す借地という方法もあります。借地権には「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」があります。
一般定期借地権は50年以上の土地賃貸を前提として、契約期間満了時に借地権が消滅するものです。賃貸借契約の更新はなく、借り主は更地にして土地を返還することになります。借地人が居住用の建物を建てると固定資産税が軽減される点もメリットとしてあげることができます。契約期間が長いために安定した収入が得られますが、貸主(オーナー)は最低50年間、他の用途に転用できなくなります。
建物譲渡特約付借地権は、30年以上の賃貸が前提になります。賃貸借期間満了時に更地に戻すのではく、借地人から建物を買い取ることで借地の権利が消滅します。賃借人が賃貸マンションや賃貸アパートを建設した場合、30年後にその物件を買い取って賃貸経営を引き継ぐことができるのです。借地期間中は地代等の収入を得て、契約期間終了後は家賃収入を得るということも可能です。一般定期借地権よりも期間が短い点もメリットとしてあげられますが、借地権を消滅させるために建物の買い取りが条件となっている点に注意が必要になります。
最後に、事業用定期借地権は平成20年の改正借地借家法が施行され、注目されています。改正前は借地の契約期間が10年以上20年未満でしたが、更地にして返還しないといけないので、建物の償却期間が20年以上の場合、会計上は除却損を計上しなければならないなど、活用に多くの制限がありました。改正後は期限を10年以上50年未満に変更となり、用途に関しては住宅を除く事業用という制限はありますが、住居用に比べて地代を高めに設定できるというメリットがあります。
詳しくはこちらをご覧ください「事業用定期借地権の活用」
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少子化で増える廃校
近年、少子化や市町村合併等の影響により廃校が各地で発生しています。政府は「みんなの廃校プロジェクト」と称して全国の廃校情報を集約、一覧にまとめて、活用ニーズとマッチング検索しやすいサイトを設けるなど取り組みを始めています。2008年、東京都新宿区歌舞伎町の廃校となった小学校に吉本興業東京本社が入居した事例は、廃校再活用として当時大きな話題となりました。リノベーションに際しては、同校が文化的価値の高い建築物であることから保存を第一として、給排水設備の改修や地震発生時にも安全を確保できる耐震化など内部工事をメインに行ったとのこと。元々が公共施設であるがゆえに廃校活用には官民一体の協働が不可欠だといえそうです。
TOPICS
現代版「家守」が空き家を再生
戸建ての一軒家やビルの空室を放置すると建物自体の劣化のみならず、倒壊や不法侵入など治安悪化を招く恐れがあることから、対策が急務とされています。
そこで注目されているキーワードが「家守」。家守とは、江戸時代、不在の地主に代わって長屋を管理した代理人であり地域を統括する存在でもありました。現代では、空き家や空きビルをリノ ベーションによって再生し入居者を斡旋・支援するだけに留まらず、エリアの価値や魅力の向上、にぎわいのある街づくりを行政や住民と連携して進める個人や団体を指します。その担い手となる人材育成の場として有名なのは2011年に北九州市で始まった「リノベーションスクール」。今年の開催で第10回開催を迎え、全国に広がっています。
このページで登場する「CRE」用語
- グリーン投資減税
- 太陽光発電システムを対象としたグリーン投資減税では、取得価額30%の特別償却か、中小企業者に限り取得価額7%の税額控除のどちらかを選ぶことができる。100%の即時償却については平成27年3月末日取得分で終了しているので注意が必要。なお、現行制度の適用は平成28年3月末日以内となっており、国や地方公共団体の補助金をもらって取得したものは対象外となる。
- サブリース
- 一括借上(一括賃借またはマスターリースとも言う)をした物件を、第三者にそのまま転貸するか、分割して賃貸を行うこと。賃借人の募集や対応を含めた経営ノウハウを持っていなくても管理・運営をまかせることができるので円滑な運用が可能になる。住居系不動産、事業系不動産ともに行われている。
- メガソーラー
- 出力1メガワットを超える太陽光発電の大規模施設のこと。全国に80ヶ所以上あると言われており、再生可能エネルギーの基幹電源としての役割がある。電力会社が運営している施設のほか、ガス会社や電機メーカー、商社などが手がけているものや、民間企業と自治体が連携して展開しているものなどもある。
- スマートグリッド
- 電力の流れを供給する側と受け取る需要側の双方からコントロールすることで、最適化を実現する次世代送電網のこと。一方的に電力会社から電気を供給する現在の方式では無駄が多く、災害時の復旧にも時間がかかってしまう。その点、スマートグリッドでは無駄な供給が改善され、送電拠点を分散することで復旧もスピーディになる。再生可能エネルギーを組み込むことで、大型発電所に頼らずにその地域で作った電気をその地域で消費するという仕組みが実現すると言われている。
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