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東日本大震災の際に困った首都圏オフィスの事例22
BCPって常識?
揺れがおさまったら・・・発生直後の初期活動(数分後~数時間)
火災報知器が鳴ったらどうすればいいの?

- 火災報知器が鳴ったらどうすればいいの?(渋谷区・アパレル)
- もし、火事が起きてもビルの管理人が何とかしてくれるんじゃないの?(目黒区・ソフトウェア開発)
東日本大震災が起きた時、ザイマックスグループのオフィスビル管理物件約600棟のうち火災が起きた現場はありませんでしたが、東京消防庁管内では33件の火災が発生しています(主な出火原因は、電気ストーブ9件、配電用変圧器5件、鑑賞魚用ヒータ3件)。そもそも建物火災の出火件数に占めるオフィスビルの割合は2.9%(総務省消防庁調べ)と低いのですが、10年前に発生した新宿歌舞伎町ビル火災もいまだ記憶に残るほどで、起きてしまった時の被害は甚大です。

<例>煙感知器
火災の際、発生する煙を感知するもので、天井に設置されています。

<例>発信機
火災を発見した時に押す発信機(押しボタン)
でも、オフィスで火事が発生したら、ビルでどういうことが起きて、何をすればいいのか具体的にイメージできていますか?
震災前は火事が起きた時のことなんて想像しなかった方も、震災後は「火事が起きたらどんなことが起きるの?」「火災警報が鳴ったら何をすればいいの?」といった声が聞かれるようになってきました。
では、火災が起きたら、ビル内でどんなことが起こるのかまず整理してみましょう。
- ①火事発生
- ②感知器が火事を感知するor誰かが火災を見つけて発信機を押す
- ③火災報知器の警報が鳴る
ビルに常駐の管理員や警備員などがいる場合は、館内放送等で「○階で火災が発生しました。係員の指示に従って避難してください・・・(内容は様々)」などとアナウンスがあるでしょうから、その指示に従って動けばいいでしょう。でも、常駐管理員がいない場合は?ビル内にいるテナントそれぞれが判断し、行動を起こさなければならなくなります。あなたがオフィスの総務担当だったとして、みんなにどんな指示を出しますか?
対策・(ビルに常駐管理員がいない場合)火災発生の有無やその現場確認から、通報、初期消火、避難誘導まで自らが行う必要がある。
・社内で誰がどんな役割をするのかをあらかじめ消防計画に定め、社内に通知徹底しよう。
ビルが無人管理の場合でも、現場の特定や通報などを行うようにビルの設備などで一定の対応をしている場合もありますが、現場ですぐに動ける人がいるわけではないので、現実的には入居しているテナント自らが即行動しなければ危険です。とくにオフィスの総務担当者であれば、防火管理者になっている方も多いでしょうから、率先してみんなに指示を出しましょう。
- ・火災発生の有無や現場がどこかを確認する
- ・大声で火事を知らせ、消防に通報する
- ・(火が天井に届いていなければ)初期消火
- ・避難誘導
これらのことを、いざという時に確実に行えるように役割分担し、社員一人一人が、「自分は何を行うのか」分かっている状態にしておくことが必要です。
火災報知器が鳴ったとしても、発生現場が見えない状況だと、「誤報なんじゃない?」「誰かが指示してくれるんじゃない?」と考え、何もせずに時間が経ってしまうことが多々あります。誤報ならいいのですが、これが万が一、本当の火災だったら、気付いたときにはもう手遅れということになりかねません。とくに複数のテナントがビルに入っていて、常駐管理員もいないとなれば、誰が指示を出すのか、あいまいになりがちです。現場確認から初期消火、避難誘導まで、火災が起きたときにやらなければならないことはたくさんありますから、社内の防火管理体制だけでなく、ビル全体の防火管理体制も確認しておきましょう。
参考テナントの防火管理者とは・・・
消防法では、一定基準以上の防火対象物には防火管理者を選任し、防火管理上必要な業務を行うよう定めています。各テナントの防火管理者等は消防計画に基づいて、日常の防火管理を推進していかなければなりません。防火管理業務には主に次のようなものがあります。
- ■防火管理体制の確認と社員への伝達
- ■火災予防の体制づくり
- ■火災発生時の体制づくりとビル全体の訓練への参加
- ■日常の防火管理業務(火元確認、避難経路の確保など)
- ■必要書類(消防計画、防火管理者、消防訓練など)の届出