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東日本大震災の際に困った首都圏オフィスの事例22
BCPって常識?
オフィス再開に向けて
被害の小さいところから修復していった

- 被害の大きさを3段階にわけ、被害の小さいところから優先して修復した(中央区・アパレル)
- 被災の大きかった現場に人を派遣して、修復を手伝ってもらった(中野区・不動産関連)
小売業やサービス業などでは、拠点が多数あるところも多いと思いますが、そういった会社は、被害の状況を把握するだけでも大変です。被害の連絡が入ってくるたび、「一刻も早く助けてあげたい!」という気持ちになりますが、連絡が入った順に復旧をしても、効率が悪く、結果的に会社として大きな損害につながってしまうこともあります。
対策修復できる拠点とできないところを選別し、修復可能な拠点に人員を投入しよう。
これは、ある会社で実際に行われたものなのですが、それは「トリアージ」という方式を基にした復旧方法です。あなたの会社が多くの拠点を抱えている場合、取り入れてみることを検討されてみると良いかもしれません。
その方法とは、まずバラバラに入ってくる情報を被害状況によってランク付けをします。ここでは、「壊滅・全壊」「半壊」「小破」「被災なし」の4つに分類して説明します。「壊滅・全壊」とは、危険で近づくことができず、重機によるがれき処理が終わってから再建するしかない状態です。残念ながら、民間企業で手を打てるレベルではありません。公的機関による復旧を待って、この地で事業継続か否かを判断することになります。
「半壊」は、人手をかけて建物や店内を改修し、物資を調達すれば営業できる状態を指します。ここには重点的に自社の応援部隊を投入します。この周辺の被害者も物資に困っているでしょうから、一国も早く店舗を再開すべきです。「壊滅・全壊」の店舗に勤務していた社員は、まずはこちらへ回しましょう。
「小破」は、自力で立て直せる状態です。ここは現場にまかせます。
「被災なし」の店舗からも、「半壊」のところへ応援部隊を送り出すことになります。そのために、通常営業に差し障りがないように、人員配置を組み替える作業が必要になります。
このように回復可能な拠点から復旧させていく考えは、災害医療現場において適用される「トリアージ」方式を基にしています。トリアージとはもともとフランス語で「選別」を意味します。戦場で医師や看護士、治療器具、薬品が限られている中で、患者の負傷度により選別して最大多数の患者を救う目的を達成するために実行された方式です。