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東日本大震災の際に困った首都圏オフィスの事例22
BCPって常識?
初期活動が終わったら・・・判断、対応
どの段階で帰宅するべきだったの?

- スいつ帰宅の指示を出していいか分からず、就業終了時間になってなんとなく帰宅させた(渋谷区・ゲーム開発)
- 早く帰宅させた方が安全だと思ったが、結局、駅で足止めになってしまった人が多かった(中野区・専門商社)
あなたの会社では、震災当日、どの時点で帰宅の指示を出しましたか?それとも、何の指示も出ませんでしたか?内閣府の調査によると、首都圏の約80%の企業が従業員に対して帰宅についての何らかの方針を示していたそうですが、その方針内容については、ほぼ半々に割れています。
大部分の従業員に対して「職場に留まるように」呼びかけた企業は約41%だったのに対して、原則として「帰宅するように」呼びかけた企業が約36%でした。
二つの方針は拮抗しているようにも見えますが、そもそも方針を示さなかった(従業員の自主的な判断にゆだねた)企業も約20%あり、そのほとんどが帰宅したと思われますので、実際には「会社に留まらせた企業」よりも、「帰宅させた(自主的に帰宅した)企業」の方が多いと言えるかもしれません。
テナントへのヒアリングでは、「早く帰宅した方が安全だと思って、帰れる人は帰ってよいという指示を出した」「就業終了時間が近づいてきたのでなんとなく帰宅させた」という声が多く、交通機関や行政の情報収集を行った上での判断というより、何となく帰宅させた会社の方が多かったようです。
またビルによっては「管理会社の人が館内放送を使って情報を流してくれたので、みんなが混乱しなかった」という声も聞かれました。
![帰宅についての方針の有無[単一回答]](/content/old/img/img_graph14.jpg)
![帰宅に関する方針の内容(初回)(方針を示した企業)[単一回答]](/content/old/img/img_graph13.jpg)
対策むやみに移動を開始しないことが基本。緊急で帰宅する必要がない社員以外は、電車の運行が再開されるのを待ち、再開後も一斉に帰宅ではなく、時差あるいは翌日帰宅させる
3月11日は、特に切迫した理由もなく帰宅行動を開始している人が多かったようですが、本来は「むやみに移動を開始しない」という考え方が基本原則になっています。というのも緊急で帰る必要のない人まで移動してしまうと、今回のように多くの帰宅困難者が発生し、混乱を来たしてしまうからです。首都直下地震が発生した場合、電車の運行は長期間期待できません。帰宅困難者の数はさらに上がりますので危険です。
これまでも東京都では「行動ルール」や「帰宅困難者心得10か条」などをホームページやパンフレットの配布により、啓蒙活動を行っていましたが、実際には十分浸透していなかったようです。その反省教訓から帰宅困難者対策を強化し、企業に食料や毛布などの備蓄を求めるほか、一時的待機設備を増やすことを考えています。
家族の安否が心配で帰りたいという人も多いので、どうしても帰宅する場合は、一斉に帰宅するのではなく、情報収集を十分に行った上で帰宅させることがベストです。その場合、車両は全面通行禁止になりますから、徒歩帰宅です。徒歩の場合、一般成人は1時間で4kmが限界です(女性や高齢者はもっと短い距離になります)。現実問題として帰宅できるかどうか事前の検討が大切です。家族の安否確認方法については、あらかじめ家族内での連絡方法を話し合ってもらっておくと良いでしょう。
参考情報収集の手段の一つとしてメールを利用する
東日本大震災の際、情報収集する手段として一番簡単なのはホームページでしたが、アクセスが集中してしまい、閲覧しづらくなった所もあったようです。そういった時のためにも、区市町村の情報発信メールを登録しておくと便利です。防犯に関する情報から、地震、大雨、洪水などの災害情報を発信していますので、気になる方は行政のホームページ等で確認してみましょう。ただし、首都直下地震の発生時には、「通信規制」が実施されるおそれもあり、事前の問合せが必要です
- ◆ 千代田区・・・安全・安心メール
- ◆ 中央区・・・ちゅうおう安全・安心メール
- ◆ 港区・・・防災情報メール
- ◆ 新宿区・・・新宿区防災気象情報メール
- ◆ 渋谷区・・・しぶや安全・安心メール