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東日本大震災の際に困った首都圏オフィスの事例22
BCPって常識?
初期活動が終わったら・・・判断、対応
安否確認にものすごく時間がかかった

- 安否確認システムを導入していたが、メールが届いたのは5時間後だった(港区・コンサルティング)
- 外出時に地震。会社に戻ったら誰もいなかった(中央区・広告関連)
- アルバイトの人は、何日も連絡が来なかった(新宿区・販売サービス)
メールアドレスなどを登録しておけば、緊急時におけるメッセージ通報や、災害時などの安否確認を自動で一斉に実行してくれる「安否確認システム」。でも、東日本大震災の時に、あまり機能しなかったという声が多く聞かれました。震災前に導入していた企業からは「システムを導入していたからすっかり安心していた。実際、使う場面になってどう使うのか社員全員の理解が徹底できていなかった」「安否確認のメールが届いたのは5時間後。でもその前に、上司から電話がかかってきたから、意味がなかった」などなど。
外出している時に地震にあった人の中には「交通機関がマヒする中、せっかくの思いで会社に戻ったのに、会社には誰もいなかった」というケースもありましたが、ちょっと哀しいですね。また「アルバイトの人は勝手に帰ってしまい、その後何日も連絡が取れなかった」というようなケースも・・・。これらは、災害が発生した時に、安否確認の連絡を取り合うという意識が希薄だったと言えます。
対策安否確認システムは予行演習をしておくとともに、別途、緊急連絡網も整備しよう。大きな災害があった際は、会社から連絡がなくても自主的に行動が取れるよう、有事の際の行動基準について話し合っておこう
安否確認システムが機能しなかったのは、地震発生直後から通話が急増したため、各通信事業者が行った「通信規制」が一因です。「通信規制」とは重要な通話(災害時優先電話や公衆電話からの発信、緊急通報)を優先的につなげるために、主に電話の発信を制限するものなので、つながりづらくなってしまうのは、仕方のないこととも言えます。
ただし、通信が回復した後でも、「使い方がわからなくて返信しなかった」「迷惑メール設定でメールが届かなかった」という人もいらっしゃいましたので、普段からシステムを使った予行演習を行い、使い方を伝授しておく必要があるようです。
またシステムだけに頼るのではなく、別途「緊急連絡網」の整備をしておき、停電時でも紙面で確認できるようにしておくと安心です。人事異動や引越しなどのタイミングで見直しをしながら、こまめに整備をしましょう。
外出している社員や、アルバイトの人には、安否が不明になってしまわないよう、大規模地震の際の自主的な行動基準について、平素から話し合っておくことが大切です。そして、「通信規制」が緩和された段階できちんと連絡を取り合うよう、意識付けをしておくことも大切です。