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東日本大震災の際に困った首都圏オフィスの事例22
BCPって常識?
初期活動が終わったら・・・判断、対応
近くの小学校に避難したら、地域住民のための場所だといわれた

- 近くの小学校に避難したら、ここは地域住民のための場所だといわれ、どこに行ったらいいのか分からなくなった(千代田区・金融関連)
- 避難する場所がなく、近くのお寺で帰るまで居させてもらった(中央区・レジャー関連)
避難すべきか、留まるべきか・・・「壁にヒビ割れ(クラック)が!!ビルに居てもいい?それとも避難するべき?」という事例で、その判断基準をご紹介しましたが、では、ビルから避難しなければならなくなってしまった時、どこに避難すればいいか知っていますか?実は、避難した方の中で、下記のような状況に陥ってしまった方が、結構いらっしゃいました。
- ○ 地震発生後、ビルの倒壊などはなかったものの不安になり、とりあえず近くの小学校に行ったら、「ここは地域住民のための場所だ」と言われたため、どこに行けばいいのか分からなくなってしまった。道路を1~2時間さまよいながら考えてみたが、会社に戻るしかなかった。
- ○ ビルの管理人から「危険だから避難してくれ」と言われたため、近くの中学校に行ったら、やはり「地域住民のための場所」だと言われ、そこに居づらくなり、結局、避難所として指定されていなかったお寺で夜を明かした。
本来どこに避難するべきだったのでしょうか?
対策避難所は基本的には地域住民のための場所。行政のホームページ等で広域避難所を確認し、社内に周知しておこう。
まずは、ビルに危険がないのにむやみに避難すると、道路や避難所を混雑させることもあるので、危険性がなければビル内に留まりましょう。避難が必要になった場合の順序は、一般的には下図のようになります。
「一時集合所」や「広域避難場所」は、火災などがおさまるまで一時的に待つ、安全を確保するための場所で、ここまでは地域住民であっても事業所に勤めている人でも同じです。ですが、「避難所」というところは、一定の期間避難生活をするための場所であり、事務所従業員の方々が長期にわたり避難生活を送ることは想定していないところが多く、備蓄品等も地域住民用の数量しか用意してない場合があります。「広域避難場所」と「避難所」は、言葉としては似ていますが、役割はまったく異なるものなのです。
事例のようにいきなり小中学校に避難してしまうと、そこは「避難所」であり「地域住民のための場所だ」と言われてしまうことがありますから、まずは「一時集合所」あるいは「広域避難場所」へ避難するようにしましょう。行政のホームページ等で避難場所についての情報が載っていますので、自分の会社はどこへ避難したら良いのか確認し、社内にも通知しておきましょう。
参考千代田区や地区内残留地区は要注意!
千代田区は東京都の調査により、震災時に大規模な延焼火災の危険性が比較的少ないと認められたため、区内全域を広域的な避難を要しない「地区内残留地区」に指定しています。そのため、「広域避難場所」「一時集合場所」の指定も解除されています。危険な場合は、「帰宅困難者支援場所」に避難しましょう。
また、千代田区以外でも「地区内残留地域」が設定されているところがありますので、ビルがその地域に入っている場合は気をつけましょう。