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移転検討〜決定

震災前後で変化した移転理由

震災後に「耐震不安」を理由にした移転が急増。最も多い理由は「事務所スペースの拡張」のため

移転理由グラフ 出所:ザイマックス不動産総合研究所

テナント企業の移転理由として一番多かったのは、「社員が増えて机を置く事務所スペースが足りなくなった」、「採用計画どおり人員が増えると今の事務所に入りきらない」等による「拡張」の必要性があったからというもの。加えて、賃料相場が下落局面にあったため、「賃料を削減」したうえで「拡張」したり、「駅に近い」や「より新しい・ハイグレードなビル」へ移転したりなど、賢く事務所を拡張する移転が多く見られました。

また、東日本大震災前後でその理由を比較してみると、震災後、旧耐震基準ビル※1から新耐震基準ビル※2へと移転する「耐震不安」を理由にした移転が、「拡張」に次ぐ理由として登場しています。もちろん、こういったニュースは新聞等で耳にしていると思いますが、耐震を気にしてより安全なオフィスビルへと移転しているのは、大企業だけでなく中小企業も同じ。このデータの対象である、主に中小規模ビル(1フロア100坪前後の賃貸オフィスビル)でもそういった傾向が顕著なのです。

「事務所が狭くなってきた」、「賃料を削減したい」、「複数ある拠点事務所を統合したい」、「立地改善をしたい」など、従来の移転理由よりもさきに、「ビルの耐震性への不安」を理由に移転を決めたケースが多くみられました。

東日本大震災を受け、これまで以上に不動産マーケットや賃貸オフィスビルの安心・安全に関心を持つ企業が増えています。総務担当者であれば、普段から賃貸オフィスの安全性について確認しておくことも大事ですね。

<事務所移転したテナントの声:移転を決めた理由>

  • ・震災後、社長から、各拠点事務所の耐震性を確認するよう指示があり、うちの事務所は旧耐震だったので、契約期間はかなり残っていたのですが、やや手狭になっていたこともあり、新耐震ビルへ拡張移転しました。(新宿区・コンサルティング)
  • ・震災時、揺れがひどく、いくつか壁にもヒビが入り、管理会社に問い合わせましたが、耐震性能や補修工事についての説明もいまひとつ頼りなく、不信感がつのり移転することを決めました。(千代田区・出版)
  • ・数年前から仲介会社から賃貸オフィス相場の資料だけは色々ともらっており、賃料が下落しているこのタイミングがベストと思い、賃料削減移転を会社に提案しました。それでも前の事務所より広くなって、設備もいいオフィスビルに移転しました。経理担当として毎年、賃料などを見直しを行うようにしています。(港区・人材サービス)

<調査対象> 2010年以降にオフィスを移転したテナント134社

※1 1981年6月1日以前の耐震設計法で建てられたビル。
※2 1981年6月1日に施行された新耐震設計法で建てられたビル。中地震に対しては、ほとんど損傷を生じず、大地震に対しても、部分的被害は発生しても、建物倒壊による人命の被害が起きない強度をもたせるのを目標としている。