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初心者とベテランの違い

賃貸オフィス物件の情報収集はほどほどに。百聞は一見にしかず。

出所:ザイマックス不動産総合研究所

事務所移転を終えた方へのヒアリングの中で頻繁に聞かれる言葉があります。それは「見学してみないとわからない」というもの。とくにこれまでに何度も事務所移転の経験があるベテランほどこの言葉をよく使います。ヒアリングの結果でも、事務所移転の経験回数が多い人ほどインターネットでの賃貸オフィス物件の情報収集をしない、やったとしても時間をかけない傾向があるのですが、その理由は「見学してみなければわからない」からというのが大半なのです。

どんなに頭の中でシミュレーションしようとも、どんなに写真や図面でイメージを膨らませようとも、見学に行ってみると気がつかなかったことがたくさん見えてきて、イチ押しオフィスビルがあっというまに候補から外れたり、逆にイマイチ興味のなかった物件が実際見学してみると気に入ったり、なんてことが多々起きています。実際に移転経験者から聞かれた声を挙げてみました。

  • 駅から歩いてみたら、徒歩5分とあったけどもっと距離があるように感じた。坂道が多くゴミゴミしていて、夏場はしんどいな~と思った。
  • 築年の新しいビルを選んで見てみたけど、1Fに入っている店舗の前が、喫煙ゾーンになっているせいで、タバコのにおいが気になるし、エントランスも微妙に汚れていた。
  • 地下1Fの物件ということで、安さが魅力なものの、やっぱり暗いだろうと思って、あまり候補として見ていなかったけど、行ってみたらドライエリアがあり、意外に外からの光が十分に入って明るかった。
  • 築30年超とかなり古かったが、大規模リニューアル済みで明るくきれいに管理されていた。空調設備も省エネタイプに更新されており、築年数だけで判断するといいものを見逃すと思った。
  • 賃料が相場よりも断然安かったから、何か欠陥があるビルだと思って候補に入れなかったけど、ついでに見てみたら、何も悪いところが見当たらなかった。

上記は一例ですが、このように思い描いていたイメージと実物のギャップがあるのが当たり前なのです。だからこそ、オフィスビルを見学する前に条件を絞っていくことも大切ですが、少しでも気になる物件が見つかったときには、とにかくまずは見学に行ってみるのをオススメします。

自分判断ではなく、まずはプロに聞く。

そして事務所移転のベテランほど、早い段階からプロの仲介会社を利用しながら移転をスムーズに進めています。個人の住宅とは違って、オフィスビルはフロア(区画)の使い勝手、電気・通信、空調、セキュリティといった設備仕様などがオフィスビルによってそれぞれ異なるので、築年数だけではなかなか判断しづらい面があります。また賃料、共益費、敷金等やビルの館内細則(使用ルール)を含めた、賃貸借契約にかかわる条項やオフィスビルならではの商習慣も多く、こちらも賃貸人のビルオーナーや不動産会社によってそれぞれ違ったりします。

そんななかから、企業の業態や社員の働き方に合わせて事務所を選ばなければならないため、事務所移転を何度か経験している人でさえ、なかなか「慣れる」ことはありません。だからこそ、信頼できる仲介会社に「任せるところは任せる」ことが、移転成功への近道ということになるのでしょう。

特に事務所移転の経験の浅い方・はじめての方はオフィスレイアウトや入居工事・引越しなどでは、想像以上に手間と時間がかかることを知らずに、無理なスケジュールを立ててしまいがちです。ぎりぎりになってプロに頼んでも、もうそのスケジュールは無理です・・・ということになりかねませんから、早め早めに移転の準備を開始することが大切です。もし、今後突然「事務所の移転担当」を任命されたら、物件情報の収集はほどほどに、信頼できるプロの仲介会社をできるだけ早く見つけましょう。そして、自社の課題や社員の働き方の状況をできるだけ詳しく伝え、どんどん仲介会社から物件情報や移転の知恵を引き出すのです。きっとあなたの力強い味方になってくれるはずです。

<調査対象> 2010年以降にオフィスを移転したテナント48社