11月にオフィスを解約するために・・・。

オフィス移転が増える5月に新しいオフィスへ移るためには、前年の11月には最終意思決定をし、解約予告をしなければならないケースが大半です。今回は、円滑なオフィス移転を実現するために事前に確認すべきポイントをご紹介します。

移転時期が5月に集中するワケとは?

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1年の中で最もオフィスの開設が多いのが5月です(当社調べ)。5月にオフィス移転を行う企業が多い理由のひとつに、人員計画があります。春に入社した社員が研修などを終え、各部署に本配属をされるタイミングに、今よりも広いオフィス・新しいオフィスへの移転を検討する企業が多いためです。

解約予告はなぜ11月が多い?移転スケジュール検討のポイントとは?

オフィスを移転するためには、まず現在入居している物件のオーナー等に対して、契約解除の意思表示(解約予告)をする必要があります。

解約予告とは

オフィスのオーナーまたは管理会社に対して、事前にオフィスの退去を通知することを解約予告といいます。オフィスの賃貸契約を解約したい希望日の6ヶ月前までに解約予告を行わなければならないケースが大半です。この解約に要する期間を解約予告期間といい、これは契約内容に応じて期間が異なりますので、入居時に交わした賃貸借契約書を確認しましょう。解約予告期間内に中途解約をすると解約日までの賃料を請求されるケースもあります。

オフィスを移転するためには、内装工事や什器類の運搬・設置、サーバの移設など、活動拠点として実際に機能するための一定の準備期間が必要になります。GWを利用し、5月に移転先の新しいオフィスを開設する場合、多くの企業は11月中に現在の貸主に対して解約の意思を伝えなければいけません。では、なぜ11月中なのでしょうか?それには、解約予告期間と原状回復工事の期間が関係しています。(下図参照)

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解約予告期間に加えて押さえておきたいのが、原状回復工事のスケジュールです。居住用マンションなどの住居とは異なり、オフィスは原状回復工事を契約期間内に行う必要があります。この工事にかかる期間が約1ヶ月、そのため5月に新しいオフィスを開設するためには11月末が意思決定のタイムリミットと考えられるのです。

オフィス解約時に確認するべきポイント

スムーズに解約手続きを進めるために、以下のポイントを確認しましょう。

移転の目的を明確に

まずはじめに移転の目的を明確にし、移転先の条件を決めましょう。(面積の増減・コスト削減・立地改善等)


現入居オフィスの契約内容の確認

解約予告期間や敷金の返還時期、原状回復の範囲等を確認しましょう。


移転時期を決める

家賃の二重払いを少なくするために、おおまかな移転時期を決めておきましょう。


信頼のおける仲介会社へ情報収集を依頼

幅広く、密度の濃い情報を効率良く収集するために、信頼のおける仲介会社に相談しましょう。


物件見学・現地調査・物件の絞込み

できる限り多くのビルを見学し、比較検討しましょう。


具体的な契約条件の確認、入居申し込み

会社案内や登記簿謄本が必要な場合もあるため、事前に確認しましょう。契約内容もしっかり確認し、不明な点は仲介会社を通じて確認しておきましょう。


現入居オフィスのオーナーへ解約の通知

必要事項を記載して書面を提出します。駐車場や看板等の付帯契約の解約も忘れないようにしましょう。


移転スケジュールの確認

レイアウトの作成、内装等工事の手配、各種官公庁への届出・手続き等の具体的な工程を確認し、業務内容を整理して進めていきましょう。

スケジュールの確認、解約手続きの次に気になるのは移転にかかる費用のこと。
オフィス移転に必要な諸経費をお伝えします

新しいオフィスへ移転するために必要な費用はどのくらい?

オフィスの移転には、そもそもどのくらいの費用がかかるのでしょうか。具体的にどの項目にどれ程のコストが必要になるのか念頭に入れておきましょう。

敷金(保証金)

一般的には賃料の10~12ヶ月が相場
現在入居中のオフィスの契約によっては、敷金の中から賃料の数ヶ月分(あるいは敷金の数%)を償却費として差し引かれる場合があります。また、返還も貸主への債務が終了してからとなるので、原状回復工事や新しいオフィスの敷金に現在預けている敷金を充てることができないので注意が必要です。


原状回復費

1坪当たり40,000円程度
この工事は、貸主の指定の工事業者で行うのが通常です。こちらの単価はあくまでも標準的な仕様のオフィスの原状回復費です。オフィスの仕様によって金額は高くなる可能性もあります。


入居工事費

1坪当たり40,000円程度
あくまでも標準的な仕様のオフィスの入居工事です。この工事は、貸主の指定会社で行うものと自分たちで選定した会社で行うものがあります。仕様によって金額が高くなったり工事期間が長くなったりする可能性がありますので注意しましょう。


引越し作業費

社員1人当たり50,000円程度


その他費用

新しい什器の購入費、住所変更による名刺や封筒、会社案内など印刷費、システム構築費や仲介手数料なども移転時に発生する費用です。これらの項目も忘れずに見積もりましょう。

※お断り:本記事でご紹介した費用は標準的なオフィスの移転実績を基にはじき出した概算です。工事内容やビルオーナー様の考え方等多くの不確定要素が組み合わさって決定される事項ばかりですので、一つの目安としてお使い下さい。

まとめ

11月に解約予告をするためには、今からすべきことが多くあります。「移転はまだ先のことだから」と油断せずに、契約内容の確認やコスト試算をしっかり行い、納得のオフィス移転の第一歩を踏み出しましょう。