20代OL防災体験記
~災害体験に行ってきました~

9月1日は防災の日。3.11の東日本大震災以降、防災への意識の高まりから、入居しているビルで実施する防災(避難)訓練に積極的に参加したり、独自に防災(避難)訓練を実施したりする企業も増えてきたようです。
ただ、サイレンが鳴ったらぞろぞろと歩いて非常階段に向かい、階段を下りて避難場所に集まるといったようにイベント的な訓練になってしまっていることも多いようです。実際の災害をイメージできないと、社員の方々の訓練等の啓蒙活動への真剣度を上げることもなかなか難しいかと思います。

というわけで今回、実際の災害を模擬体験し、万が一の際に社員を誘導する担当者として知っておくべき、正しい避難の方法・事前に準備すべき備えは何かをお伝えします。

今回お世話になった施設です

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こちらの「東京消防庁 本所都民防災教育センター」で体験を行いました。
東京都内では最大級の施設との事で社員の防災研修にこちらの施設を活用する企業も多いそうです。火災や大規模地震、水害、暴風雨などの模擬災害を体験しながら災害時の行動力を身につけることができます。

防災(避難)訓練といえば、火災の発生を想定して行う企業も多いと思いますので、今回私も地震後、火災が発生した場合を模擬体験し、もしもの時にとるべき行動や注意点について学ぶことにしました。

揺れがおさまってもすぐ動けない!?

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いざスタート!まずは震度7の地震を体験しました。
立っていることができないほどの揺れで、地面をはうようにしてテーブルの下に隠れるのがやっとです。テーブルが動かないように足を押さえ、頭を隠しました。40秒ほどの揺れでしたが、ずっと長く感じました。

揺れがおさまっても、私は乗り物酔いのように気分が悪くなってしまい、すぐに動くことができない状態に・・・。地震の揺れがおさまった後に避難しろ、と言われてもすぐ動き出すとフラフラしてしまいそうです。実際にこの震度の地震が起こると、壁や床に固定していない家具は倒れ、壁のタイルや窓ガラスが破損することも多いそうです。家具を固定したり、ガラス飛散防止フィルムを貼るなどすると、避難経路が確保できて逃げる為の時間がちょっとはできるかな、と思いました。


真っ暗な中を移動する恐怖

地震で火災が起こったと仮定し、次は煙体験。煙が充満して視界がきかないビルの中を避難します。火災が発生した時に一番恐ろしいのは有毒の煙です。煙は上のほうから溜まっていくので姿勢を低くし、口と鼻をハンカチ等で覆って避難します。しかし低い姿勢で歩き続けられず、姿勢が高くなると反応するセンサーに何度も引っかかってしまいました・・・。

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実際に停電になるとこんなに真っ暗です!
実際にビル内が停電で真っ暗で、しかも煙が充満している中、避難をすることはかなりの恐怖感がありました。見えるのは誘導灯くらいです。現実に火災が起こっていれば、焦って間違いなくパニックになると思います。あえて夜間に避難訓練を行うなど、日頃から対策を行なうといざという時にも落ち着いて行動できるかも知れません。

誘導灯には2つの表示の仕方があるそうです。避難口に通じる通路や経路を示す「通路誘導灯」と、避難口そのものの場所を示す「避難口誘導灯」です。避難している途中に扉があったとしても、避難口誘導灯の表示がなければその扉から外に出ることはできないので注意してください。

私は着目したことがなかったのですが、煙の中でも見えるように壁の低い位置や床面に設置されているものもありました。日頃から、誘導灯の設置場所と電源がきちんと入っているかを確認しておきましょう。

通路誘導灯

通路誘導灯

避難口誘導灯(外に出ることができる)

避難口誘導灯(外に出ることができる)

消火器の放射時間は本当に短い!

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次は消火体験。火災が発生した場合に大事なのが初期消火。これまで消火器の使い方の説明は受けていても実際に使ったことはなかったのですが、ここでは実際の火災をシミュレートした大型のスクリーンを相手に、消火器を使って消火体験ができます。
使い方は簡単で、全く触った事のない私でもすぐ使う事ができました。

ただし、消火器の放射時間は意外と短く粉末タイプの消火器で約15秒から30秒。あっという間に消火剤が無くなってしまいました。ホースを煙に向けがちなので燃えている物体(火元)に向けて使い、最後にきちんと消火できたかを必ず確認するというのがポイントだそうです。放射時間が短いので、可能であれば消火器を何台か集めて使えるといいかなと思いました。
また天井に届くような炎になってしまった場合は消火は困難とのことなので、ただちに避難しましょう。

また、初期消火の設備として屋内消火栓の使い方も学びました。
ビルの規模によっては屋内消火栓が設置されており、これは、消防隊が使うこともありますが、基本的にはビル内にいる人が、消防隊が現場に到着するまでの初期消火をするために設置されているものだそうです。私は恥ずかしながら勝手に開けたら火災報知機が鳴るのではないかと思っていました・・・。

消火器と合わせて設置場所と使い方を確認しておきましょう。
ちなみに写真のものは2人で操作するタイプの消火栓で、バルブをひねる人とホースを持つ人とが協力して使用します。
非常に簡単ですが、実際に使ったことがない場合が多いのではないかと思います。
消火栓の扉の裏側に使い方を貼っておくなどすると、誰でも使う事ができ、いざというときにも安心です。

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ところであなたはオフィスの消火器の設置場所を把握していますか?
普段使わないものなので、写真の様に奥に追いやられている場合もあるのではないでしょうか。日頃から周りに物を置かず、すぐに使えるような状態にしておきましょう。

体験後記

火災の避難訓練は、「小学生のころからやっているし・・・」と思われる方も多いのではないでしょうか。私も知っていることばかりかと思っていましたが、実際に体験してみると、新たな発見がありました。
火災が起こりにくいようなオフィス環境だと思っていても、大規模地震が起こった際などは配電用変圧器がショートするなど、火災が起こる可能性も高くなります。今一度、火災時の対応や避難方法について確認してみてはいかがでしょうか。今回の体験が、万が一の際に社員の方の誘導をされるご担当者様の参考になれば幸いです。