20代OLサバイバル体験記
~オフィスの備蓄品で生活してみました~

来年春に施行される都条例を受け、オフィスでの備蓄が話題となっています。
国からは備蓄品の指定や数量の規定はありません。実際にオフィスで3日間過ごすことになったら・・・今企業で備蓄を進めているもので生き抜くことができるのか。非常食はどんなものがあるのか、味はどうだろう。トイレは・・・?と様々な不安が生まれました。皆さんも備蓄を検討する上で悩まれることだと思いますが、想像だけでなく実際に試してみないと分からないことですよね。
というわけで今回、提案者の私が身を持って備蓄品で生活してみることとなりました。

いざスタート!まずは食事です

この備蓄品生活を始めるにあたり、まず驚いたのは食事のメニューが豊富にあることです。
ごはんは白米、おかゆだけでなく、ピラフや五目御飯、わかめごはんにチキンライスなど・・・
どれにするか楽しみになる程の品揃えがあります。

作り方はとても簡単。種類によって調味粉末を入れ、お湯か水をパックに直接注いで待つだけ。お湯であれば15分、水の場合は60分で食べられます。スプーンもセットでついているので他に用意するものもありません。
まずはお湯で作ってみることに。15分待ち、早速食べてみました。
非常食一口目の感想は・・・
・・・おいしい!
ついさっきまで乾燥していたとは思えない程、お米に弾力があり味もしっかりとしています。量もたっぷりあるのでおなかも満たされ、予想以上のおいしさに大満足でした。

ご飯  ご飯

乾燥したお米が・・・              こんなにもちもちに!!

ただ、オフィス内は火気厳禁。被災時には水で調理しなければいけないことが多いだろうと、次の食事は水で作ってみました。3分のインスタントラーメンに慣れているせいか、60分は非常に長く感じました。冷たいごはんにも抵抗がありましたが、実際に食べてみるとそんな心配もなく、お湯で作ったのと同様にお米もふっくらでおいしくいただきました。

次の食事はパンを試してみることに。
乾パンではなく、缶詰に入ったパンがあるのです。こちらも味が豊富でプレーン、オレンジ、ブドウ、チョコレートなど色々な種類がある中で、オレンジを試してみました。
手に取るとしっかりとした重さがあったので堅いのかな?と思っていましたが、食べてみると、しっとりしていておいしい!オレンジの果肉もたくさん入っていて、非常食とは思えず、毎日このパンでも良いと思う程のおいしさでした。

パン  パン

しっとりかつふわふわのパン。お勧めです。    オレンジの果肉もたっぷり!

体験を通じて生じた注意点・疑問点
  • お湯や水を注ぐ前に必ず調味粉末、脱酸素剤を取り出してください。種類によっては調味粉末がないものもありますが、脱酸素剤はすべてのものに必ず入っています
  • 食物アレルギーがある人はどうするのか?自分で用意するのか?
    企業として把握しておく必要があるのか?

食事に関しては、空腹感も感じることもなく、味もおいしいものばかりでしたので備蓄品で生活をしていてストレスを感じることはありませんでした。

次に問題のトイレ・・・

電気や水道などのライフラインが止まれば、当然水洗トイレは使用できません。そのためトイレ用品の備蓄も必要になります。今回、備蓄品生活をしていて一番困ったもの、ストレスフルだったものがトイレです。

非常用のトイレの種類も複数あります。テントの様なものを設置しマンホールに直接取り付けるトイレ、水があれば水洗トイレとして使用できるポータブルトイレ、便座にビニールをかけ使用する簡易トイレなど。今回は簡易トイレを試してみました。

便座の上にビニールを掛けるだけなのですが、なんと・・・便座の上からではビニールの大きさが足りず、覆うことができませんでした・・・。(製品によって便座の上からできるもの、できないものがある様です。)結局便座を上げ直接便器に設置。ビニールの中に吸水シートが入っているタイプだったのでそのまま使用。紙のシートが水分を吸ってジェル化し、あっという間に固まりました。

トイレ  トイレ

できたら便座の上から使用したい・・・。      中のシートが水分を含むとジェル化します。

片付けようと持ち上げたとき、ぽたっぽたっと水滴の音が・・・。まさかと思い見てみると、トイレに溜まっていた水がビニールの底に着いてしまっていました。トイレの水を拭くのも気持ちのいいものではありませんが、もし、災害発生後、トイレの水が流せないと知らずに誰かが使用した後だったら・・・。
そしてこの簡易トイレ、2回分使用できるタイプだったのです。2回分というからには検証しない訳にはいきません。色々と不安があったため厳重に封をし、保管しました。
そして2回目。自分のものとは言え、開くのに抵抗がありしばらくトイレに行くのを我慢しました。1回目の失敗を基に浅めにビニールを張りましたが、重さで降りてしまい結局同じ結果に。ですが吸水性は問題なく、臭いもあまり気になりませんでした。
ただ、オフィスで多くの人が使うと想定すると、保管場所や保管方法、衛生面から2回分使用できるものは現実的ではないと感じました。備蓄の省スペースにはなるかもしれませんが、実際に使用した者としては1回使い捨てのものを強くお勧めします!

ちなみに・・・凝固剤を後から振り掛けるタイプも試しました。トイレットペーパーを捨て、凝固剤を振り掛けましたが・・・トイレットペーパーが邪魔をして凝固剤が行き渡らず固まらない!仕方なく振ってなじませました。皆様、ご注意下さい。

体験を通じて生じた注意点・疑問点
  • 予め使用方法を確認し、当日の対応策を決めておくことが大切
  • 使用後の処理方法はどうするのか?置き場所は?
    (成人の平均が1回当たり約250ml、回数は1日5~6回と言われています。社員100人であれば、なんと1日で150キロ強!)
  • 他の企業と共用でトイレを使用している場合はどうしたら良いのか?

その他


  • ⇒目安として3ℓとありますが、食事で使用した分も含め約2ℓ程度でした。
  • ボディーシート、水のいらないシャンプー
    ⇒清涼感を持たせるものや、香りをつけるものがあります。いずれも入浴と同様のすっきり感は求められませんが、3日間であればこれらのもので充分我慢できそう。

体験後記

この備蓄品生活をして一番困ったことはトイレに関してでした。備蓄を検討する際には飲料水や食糧などに目が行きがちですが、トイレに関しての対応策をしっかりと定めておくことが大切だと感じました。使い方はもちろん使用後の処理方法も予め決めておき、全体に周知徹底することが、災害時のトラブルを防ぐポイントになりそうです。
備蓄をする際は、実際に複数の人が生活することを想定し、備えるだけでなく災害発生時の初期対応を予めしっかりと定めておくことが大切です。
感じることには個人差があるかと思いますが、実際に備蓄品で生活した者の一意見として、少しでもこれから備蓄品の購入を検討されるご担当者様の参考になれば幸いです。