今年の夏はどう取り組む?
2011年に学ぶ節電対策

東日本大震災による電力危機により各企業で様々な節電手法が実施された昨年の夏。
1年明けた今もいまだ電力問題解決の糸口が見えず、供給不足の不安が広がる西日本地域をはじめ、今年も全国的に「節電の夏」到来となりそうです。この夏を企業はどう乗り切るのか。ザイマックスグループが実施したアンケートをもとに、体にも心にも無理のない節電手法をご紹介します。

節電成功企業に見る有効な節電手法とは

あらゆる自治体や企業が節電対策に奔走した昨夏。各社が手探りで節電対策を進める中、その成果にはあきらかな差が見られました。ザイマックスグループが実施したアンケート調査によると、節電に最も成功した企業は前年比47%使用電力量を削減することに成功、思うような成果をあげられなかった企業は前年比13%使用電力量が増えてしまっていました。その違いはどこにあるのでしょうか。上位1/3にあたる前年比25%以上使用電力量の削減に成功した企業の取り組みを検証します。

※この調査は2012年4月25日付日経産業新聞に取り上げられました。なお調査結果詳細はこちらをご覧ください

画像 節電で大きな成果を挙げた企業は以下の取り組みを行っていました。

  • 蛍光灯を外すなど間引きを行った
  • 温度や明るさに応じてブラインドをこまめに調整した
  • 事務所内で節電の数値目標を掲げた
  • いくつかの節電手法を組み合わせた

ポイントは、「事務所全体で」、「こまめに」、「継続して」、「複数の方法を掛け合わせて」節電に取り組んでいることだと分かりました。そのひとつがブラインドの有効活用です。25%以上の節電に成功した企業の60%以上が、室内が暗い時は明るさ確保のためにブラインドを上げ、室温が高い時は熱を遮るためにブラインドを下ろすといった室内環境の変化に応じてこまめな切り替えを実施していました。
一方、その他の企業で前述のようなブラインドの調整をこまめに行ったのは、わずか39%。ささやかとも思えるようなこうした工夫が、節電の成果に差を生んだといえます。

しかし、地道な努力の裏側で、「非常時」として実施された厳しい節電要請は社員のストレスにもなりました。

節電対策に関する社員からの不満の声
  • 暗い室内で作業をしたため、視力が低下した
  • 地下階口の照明が消えているため、真っ暗で危ない
  • とにかく暑すぎて、作業効率が悪化した
  • ある程度の経費削減にはなったが、我慢大会の状況になった

このような声がある中、今年の夏はどのように節電対策に取り組むべきなのでしょうか。

節電成功企業の今年の取り組みは?

今年の節電への取り組みについての調査には、約9割の企業が今年も昨年と同程度以上の節電対策を行うと回答しました。

画像

その多くが昨年同様の節電手法を継続する方針を明らかにしています。

今年の夏を乗り切る効果的な節電手法

昨年、複数の節電手法を実施した中で、照明に関しては、多くの企業で部分消灯や間引等は問題なく実施され、業務にもあまり支障がないためその後も継続ができているようです。

空調に関しては、「設定温度に対しての不満はあるが、全員で協力した」、「28℃に設定したが、室内が暑く感じられブラインドを早めに下ろすなどの対応を行った」、「空調温度を28度設定から1度ずつ下げて、扇風機を使用して心地いい設定温度を見つけた」など、暑さとの調整に苦労をした企業が多くありました。
このような昨年の実績の中から社員のストレスが少なくかつ効果的な節電手法として以下の取り組みが挙げられます。


照明
  • 照明の間引きをする
  • 不要な照明はこまめに消す

空調
  • 空調の温度設定をする
  • ブラインドをこまめに調整する
  • 使用頻度の低い部屋の空調を停止する
  • 扇風機・サーキュレーターを活用する

OA機器
  • パソコンを節電設定にする
  • 不要なOA機器を停止する

企業の節電対策には、社員の協力が不可欠です。一部の人間だけでなく全員で継続して取り組むためには、上記の手法に加えて目標数値を設定しポスターなどで掲示をして節電を呼びかけるなど、意識対策をすることが重要といえます。

ストレスが少なく、無理なく続けられる節電を

苦労や我慢の一方で、節電に取り組んで良かった点としてこのような声が上がっています。

節電に取り組んで良かった点
  • 電気代が削減できた
  • 仕事に集中できた。節電以外にもムダがないかの意識が出てきた
  • 各自が効率良く仕事をするよう心がけるようになった
  • 創意工夫する楽しさ、また家族で節電について話し合う機会等が増えた
  • 「あり過ぎた」これまでの生活を見直すきっかけになった

節電が義務づけられた昨夏は、エネルギー問題についてみんなで考え、話し合い、実践するきっかけになり、電気料金が削減できたという直接的な成果だけでなく上記のような効果も生まれました。時間的余裕がなく昨夏は着手する企業が少なかったLED照明などの設備投資が進めば、今夏は昨年比20%を超える電力削減も可能だと考えられます。もちろん過度の節電で健康や業務に被害をもたらしては元も子もありません。小さなことを続けていこうという気持ちを大切に、無理のない節電対策を長く続けて行きましょう。

2012年夏季節電のポイント

  • 照明の間引き、ブラインドの活用が大きなカギ
  • 節電手法は一つだけ行うのではなく、できるだけ全般に、こまめに取り組むことが大切
  • 節電目標の設定、ポスター掲示など、事務所全員で継続して取り組める仕掛けが有効
  • LED照明、手元照明といった設備投資による節電はまだ大きな削減余地あり