LED照明の導入は有効?
オフィスにおけるLED照明の使用

背景

東日本大震災以降、省エネ・節電への意識が高まっています。また、昨年に引き続き、今年の夏も節電が求められることが予想されます。
オフィスビルにおいても、オーナー様とテナント様が協力してさまざまな形で節電の取り組みが行われていますが、その一つとしてLED照明の導入が注目されています。消費電力を低く抑えられるので、ビル全体の節電に寄与することに加え、テナント様にとっても消費電力量を抑えることで電気料金の削減につながることから、積極的に検討・導入する企業が増えています。


前編

画像 オフィスにおける電力消費が大きいもののひとつに照明が挙げられます。
その照明の消費電力量を抑えることが、電気料金削減対策のカギとなると言えます。そこで、従来の照明設備に比べて消費電力量が少ないLED照明の導入を検討する企業が増えています。

LED照明は、消費電力量を抑えることができるうえ、寿命が約4万時間といわれ交換サイクルが長いことから、導入によるメリットが大きいと言われています。
しかし一方で、健康被害の問題や本当にコストメリットがあるのかなど、その実態がわからない・・・という課題も多く聞かれます。

今回は、LED照明を導入するにあたってのよくある疑問・不安にお答えします。


LED照明を導入するにあたっての疑問・不安

  • Q1:問題になっていた「ちらつき」は解決した?
  • Q2:コスト面で本当にメリットはある?
  • Q3:すぐにでも導入したいのに、ビルのオーナーに許可してもらえない!


後編

LED照明を正しく理解して、より効果的な活用を


Q1:問題になっていた「ちらつき」は解決した?

A:LED照明の導入を検討するとき、まず気になることが「ちらつき」による健康被害です。
一般にビル等で供給されている電源は交流ですが、LED照明は直流で点灯するため、交流を直流に変換(整流)する際に、簡易な整流回路を用いると下図のような電圧波形となり、LED照明が点滅を繰り返すので「ちらつき」が発生します。(下図参照)

※整流器を介したLED照明の電圧

※整流器を介したLED照明の電圧

最近は、電圧を一定にする「平滑回路」の改良が進んでいるので、「ちらつき」が発生しない製品も多く存在します。ただし、製品によってクオリティにばらつきがありますので、製品特性や使用場所や目的によってどの製品を採用するかの判断が必要です。

Q2:コスト面で本当にメリットはある?

A:消費電力量が少なく、寿命の長いLED照明ですが、従来光源に比べイニシャルコストは割高です。また、従来の器具をそのまま使って管球のみ交換する場合には、口金や、交流から直流に変換する電源装置を取り付ける工事が必要な場合があります。管球交換では対応できず、照明器具全体を交換しなければならないものもあります。
LED照明は省エネ効果が大きいのでランニングコストの削減は図れますが、導入時のイニシャルコストがかかるのも実情です。

Q3:すぐにでも導入したいのに、ビルのオーナーに許可してもらえない!

A:先にも述べたとおり、LED照明の設置にあたり、工事が必要となる場合は、ビルのテナント側の判断で導入できるものではなく、オーナーの許可が必要となりますし、場合によっては退去時に原状回復工事の対象となることもあります。
初期費用がかかるため、テナント負担の導入はなかなか進んでいないのが実情です。
しかし、新築ビルにおいては、設計段階からLED照明が積極的に導入されています。

設置場所や活用方法によっても異なる効果

市場ニーズが拡大し、大手メーカーも含めて次々と新製品を投入していることもあり、LED照明が導入しやすい環境になってきたといえます。

ただし、製品によっては、性能にばらつきがありますので、使用場所や目的に応じた製品選びが重要になります。
例えば、長時間照明下に滞在する執務室や会議室向けには高品質の製品の採用が推奨されますが、照明下に滞在する時間が短い駐車場や廊下には執務室の製品に準ずる高品質の製品である必要はないかもしれません。ですが、駐車場や廊下など長時間点灯が必要な場所にLED照明を採用すれば、使用時間が長いのでその分大きな省エネ効果が得られます。LED照明を導入する際には、目的や用途、コストなど、より高い効果を得るためにどの製品を採用するか、複合的に判断をするようにしましょう。