面接辞退の原因はオフィスビル??

業種
営業会社A社
従業員数
25名
坪数
50坪

背景・課題

事業拡大のために積極的な採用活動を進めていたA社は、思うような人材を獲得できずに悩んでいました。

面接のアポイントを辞退する者が後を絶たない

画像 数多く面接をセッティングしても、当日にキャンセルされてしまうことが多い現状に頭を悩ませていたA社。
ある日、採用を担当する総務人事部のN氏は、オフィスビルの前で電話をする男性を見かけました。どこかで見たことのある顔だと思いながらデスクに戻ると、一枚の履歴書が目に入りました。まさかとは思いながらも急いで確認すると、「さきほど面接のキャンセル連絡がありました」とのこと。なんと、先ほどビルの前で電話していた男性は、この後に面接を予定していた人物だったのです。
「今まで気づきませんでしたが、もしかすると過去にも同じような事態が起こっていたのかもしれません」とN氏は振り返ります。この事態に頭を悩ませたN氏は、同じような規模の同業他社に話を聞いてみました。すると、その会社では面接の辞退者はほぼ出ていない、という答えが返ってきたのです。
「正直なところ、同じような企業でも他社と自社がこれほどまで違うのかと愕然としました」とN氏は振り返ります。


働く環境の良し悪しに原因が

両社に差をつけたものは何だったのか。その原因を追究する中で、ひとつの仮説が浮かび上がりました。
「もしかすると、入居しているビルに原因があるのではないか、と考えました」(N氏)

A社は、駅から近いものの、様々なテナントが入居する雑居ビルで、周囲は賑やかな繁華街というような環境にありました。一方、面接辞退のない会社はビジネスに欠かせないターミナル駅前の好立地にあり、新築ではないけれど、外観も綺麗に整備されているビルに入居していました。また、入居テナントには知名度のある企業も多く、安心して働けるイメージをもてる場所だったのです。


解決策

「ここでは働く気がしない・・・」辞退者からの厳しい声も

面接辞退の原因は入居ビルにあるのではないか、と考えたN氏は、面接辞退者に電話でヒアリングを行いました。話を聞いていくと、「面接に来た際に、入居されているビルを見ると、会社の将来に不安を持ちました」といった意見が出てきました。その後も複数名にヒアリングを実施しましたが、みな一様に「この環境で働くことに不安を感じる」と口にしたのです。
「いい人材を獲得するために様々な策を講じてきましたが、まさかオフィス環境に大きな落とし穴があったとは・・・」(N氏)

「事前に確認をしておけばよかったのですが・・・たしかに、統一感のあるきれいなビルだから移転を決めました。エントランスに、各テナントの看板が並んでいたり、見た目に雑然とした部分があったら、このビルに入りたい!とは思わなかったと思います。ただ、まさか制限があるとは知らず・・・というよりも前のビルでしていたことは当たり前のように今のビルでもできると思っていました」
事前に確認をしておけば、と後悔してもすでに遅く、セミナー集客のたびに誘導係を立たせるなどの対応に追われることになってしまいました。

採用のためのオフィス選び、という考え方

現状の問題を上層部に報告し、早急に移転を検討することになったA社。ヒアリングの結果をもとに、いくつかのポイントで絞込みました。

A社が重視したポイント
  • ターミナル駅から徒歩圏内にある
  • 外観含め、建物全体の手入れが行き届いている
  • 入居しているテナントの業種
  • ビル周辺環境(オフィスが多い、ランチスポットがある など)

「不動産仲介業者に相談しながら、実際にオフィスの内見を重ねました。最終的には、予算よりも少々オーバーしましたが、条件に合った物件を見つけることができました」(N氏)
オフィス移転後に採用活動を再開したところ、面接の数が倍増。それまでなかなか出会えなかったような良い人材の中から、本当に欲しい人材を選べるようになりました。面接辞退者も減り、今後の企業の飛躍を担う人材を迎えることができたA社。事業拡大のための足がかりができた、と語ってくれました。