オフィスにまつわる悩みのタネ・・・。
~駐輪場編~
- 業種
- 人材派遣業U社
- 従業員数
- 150名
- 坪数
- 350坪
前編
オフィス選びの際に重視されるポイントといえば、一般的には「立地」・「賃料」・「ビルのスペック」等が代表的です。でも、日常的にオフィスを使う社員の方々にとっては、もっと細かいことで気になるポイントがあります。そこを見過ごしてしまうと、後々の社内での不満やクレームに発展しかねません。今回は、そんな事例をご紹介します。
社員全員が大喜び!のはずが、社内クレームに・・・
医療系に特化した人材派遣会社のU社。専門性の高さで業績を伸ばし、ここ数年で急成長を遂げていました。
「会社設立当時は贅沢するわけにいかず、かなり古くて賃料の安いビルに入居していました。売上も上がり、勢いのある今こそ、新しいオフィスに移転して社員のモチベーションを上げたいと考えました」と振り返るのは、総務部で移転業務を担当したF氏。そして、U社は人気エリアに建ったばかりの新しいビルに移転を決め、社員もみな喜ぶだろうとF氏はイメージしていたそうです。
ところが、無事に引越しを終え、ひと段落ついた頃、F氏の元に社内からのクレームがちらほらと上がってくるように・・・。
「正直、みんなに喜んでもらえると思っていたので、気持ちが落ち込みました」と話してくれたF氏。F氏に寄せられたクレーム、それはなかなか解決策の見えない問題でした・・・。
後編
駐輪場の利用台数制限が問題に!
そのクレーム内容は、「駐輪スペースに自転車が置けない」というものでした。F氏は入居ビルに駐輪場があることを移転前に確認していたので不思議に思い、急いでオーナーに問い合わせました。
オーナー側の回答は「ビル内の駐輪場は二段式で台数が限られており、各テナントで不公平にならないように割り当て台数を決めさせていただいている」ということでした。
F氏は語ります。
「後で知ったのですが、今まで入居していたビルでは平面式の駐輪場にギュウギュウ詰めで自転車を置いていたようです。しかも、あふれてしまった自転車については管理人さんの裁量でビル内の空地に適当に置かせてもらっていたという事実も。昨今の自転車ブームの影響もあり、社内でも自転車通勤をしている人が結構いたんですが、私自身は電車通勤のため、そこまで細かい現状把握ができていませんでした」
周辺で駐輪スペースを探すも、難航中・・・
F氏はビル近隣の駐輪場を探し希望者へ紹介する作業を進めていますが、東日本大震災以降、都心でも自転車通勤者が急増したようで、空駐輪場を見つけるのはひと苦労。このままでは到底全員分を満たせそうにありません。
「今のビルの駐輪場運用ルールはよく理解できます。むしろ、以前の状況が恵まれすぎていたのかも・・・。新しいビルでは自転車台数が大幅に制限されることを、事前に社内に説明しておくべきたったと後悔しています」(F氏)
- ぎゅっと詰まったインフォニスタのノウハウ!
-
事前に情報収集、そして社内の理解を
ビル内の駐輪場については、区の条例等で規模に応じた設置義務があります。とはいえ、通常は最低限のスペースしか確保されていないので、昨今の自転車ブームに応えられるほどのスペースがないのが実情でしょう。
震災後、自転車通勤者が増えたこともあり、港区が公園の地下に新たに駐輪場を整備するなど行政の動きも見られますが、まだまだ需要に追いついておらず、歩道沿いに停めたままの自転車が歩行者の妨げになるなど、駐輪場不足の問題は社会問題になりつつあります。今回の事例のように、物件選びの最中にはあまり重視されていなくても、実際に使い始めてから初めて不便さに気づくこともあります。そうした事態を避けるためにも、候補物件の実態を把握し、社内であらかじめ理解を得ておくなどの事前策が大切です。