知らないと失敗する!?
オフィス面積の表記方法にまつわる落とし穴!!

業種
輸入卸売業S社
従業員数
15名
坪数
30坪

背景・課題

オフィスビルの面積には、大きく2種類の記載方法があります。実はこれが大きな落とし穴。今回は、移転担当者が2種類の記載方法を知らず、面積を読み違えてしまったばかりに大失敗につながったケースをご紹介します。

業績好調につき、オフィスの移転を計画

画像 貿易商社のS社は、円高の影響で、ただいま業績絶好調。中途採用にも成功したことから、手狭になっていたこれまでのオフィスから、早急に移転しようと計画していました。移転の条件は今のオフィス(30坪)よりも10坪ほど広くなること。そして予算に関しては広さに比例して増える分はOKいう経営判断がなされました。

移転担当者に任命されたB氏は、今の事務所の近くに、ちょうど条件に見合った40坪の物件をみつけました。3ヶ月間のフリーレントをサービスしてくれるという話もあり、それなら賃料の二重支払いも防げると、移転担当者のB氏は社長に急いで報告し、ほぼ即決に近い形で賃貸借契約を結びました。


10坪広いオフィスに決めるも、そこには大きな落とし穴が・・・

「レイアウトこそきちんと引いていなかったものの、坪数にして、約10坪も広くなることや、柱や出っ張りのない使い勝手の良さそうな整形空間だったことから、面積については何の不安も感じていませんでした」というB氏。
加えて、場所や予算も希望どおり。まさに大成功!のはずが・・・フタを開けてみれば、移転は大失敗に終わってしまったのです。



解決策

10坪広くなるはずの面積は、実はたったの5坪広くなるだけと判明

移転の準備が進み、いざレイアウトを引いてみたところ、なんだか狭い・・・。
「完全に不動産会社側のミスだとクレームを入れようと思った」というB氏でしたが、よくよく調べてみると、不動産物件には以下のとおり、グロス面積とネット面積という2通りの面積表記の仕方があることが判明。
あらためて確認してみると、移転前のオフィスは専用部分のみの面積(=ネット面積)で30坪という意味合いだったのに対し、新しいオフィスの40坪というのはトイレや給湯室などの共用部分も含むグロス面積。ネット面積で言えば35坪と、実際はたった5坪増えただけであり、広さに比例して見積もっていた賃料も実は割高だったことがわかったのです。


ネット面積

執務スペースとして使える専用部分のみの面積であり、トイレ・給湯室などの共用部分の面積は含まれません。


グロス面積

執務スペースとして使える専用部分に、トイレや給湯室などの共用部分を付加した面積。


2種類の面積表記に注意し、慎重に物件を比較することが大切

「一応、新しいビルのオーナーに泣きついて契約を取り消したいと願い出てはみたものの、当然取り合ってもらえません。しかも、現ビルは次のテナントが決まってしまっている。とりあえず無理矢理レイアウトを工夫して荷物を詰め込んでみましたが、社員の間では窮屈になったと不満が続出しているし、経営幹部からは大目玉を食らうなど、まさに踏んだり蹴ったり。現在は近くにもう1つオフィスを借りるか、もう少し大きなオフィスに移転するか検討中です」と語ってくれたB氏。
ネット面積か、グロス面積か、移転を検討開始する際には、これまでのオフィスの面積がどちらで表記されたものかを、あらためて賃貸借契約書で確認した上で、移転先の希望条件を決めるようにしましょう。


ぎゅっと詰まったインフォニスタのノウハウ!
坪数が増えても、必ずしも広くなるとは限らないので要注意!

ネット」か「グロス」かについては募集資料にも契約書にも記載されていないことが多く、「絶対に記載しなければいけない」というルールもないため、ともかく契約をする前に細かく確認することが大切。また、1フロアを2社で使用するような場合、自社のネット面積は30坪でも共有スペース10坪の半分5坪を上乗せした35坪で賃料が請求されるなど、共有スペースの費用が分割して計上されていることがあります。併せてご注意ください。
あくまでも目安ですが、付加される共用部分の割合は、約10~20%程度が一般的です。

【グロス契約の可能性があるオフィスのチェックポイント!】

  1. 1社でワンフロアを使う形式のビル
  2. ワンフロアの総面積が100坪を切っているサイズのビル

契約書チェックの際に、契約対象となる面積を示す図面が添付されておらず判然としない場合は、必ず貸主もしくは管理会社に確認することが必須です。
また、社員一人当たりの必要面積を参考にしっかり判断しましょう。

  • 執務室の必要面積:8~12m2(一人当たり)
  • 会議室の必要面積:2~5m2(一人当たり)