やっぱり新宿と思わせるコラム

緑あふれる東京副都心・新宿の歴史

文 : 釜井 知典

東京23区のほぼ中央にある新宿区は、東京都庁・有名大学病院・新宿御苑・明治神宮野球場など誰もが知っている施設が集結し、活気に満ち溢れた街です。新宿区は1947年に四谷・牛込・淀橋の3区が統合し誕生したことから、バラエティに富んだ地域であり、それぞれのエリアによって様々な特色があることでも有名です。

都会というイメージが強く、高層ビルや賃貸事務所などが所狭しと立ち並んでいる印象がありますが、緑溢れる公園や歴史的な文化財なども多く、多種多様な魅力が溢れる街だということを、ご存知でしょうか。
それでは、エリアに分けて新宿の歴史をご紹介致します。

新宿エリア

新宿駅を出ると賃貸事務所として利用できるビルや商業施設などが数多く建ち並び、終日賑わいを見せるこのエリア。歌舞伎町から新宿御苑まで様々な表情を有しており、観光客にも大いに人気があります。
新宿には歴史的にも有名な街道がいくつか通っており、その中の一つに甲州街道があります。
甲州街道は日本橋から甲府を結ぶ道ですが、最初の宿場・高井戸までの距離が長く、とても厳しい道のりでした。そこで、その中間辺りにある土地に新たな宿場を置くことが決められ、「信州高遠藩主・内藤家」の敷地に置いた新しい宿場という意味から、その土地は「内藤新宿」と呼ばれるようになりました。

四谷・牛込・淀橋の3区が統合した際、区名決定までに時間が掛かっていたものの、当時全国的に名が知られていた新宿御苑や新宿駅に加え、歴史的な文献にも残っていた内藤新宿の名称などにちなんで、「新宿区」と決定しました。

新宿御苑は古くから桜の名所として知られており、毎年4月には内閣総理大臣主催の桜を見る会が開催され、各業界の著名人が集まることでも有名です。桜の木だけではなく、イギリス風景式庭園の巨樹やフランス式整形庭園のプラタナス並木など、1万本を越す樹木が植えられており、四季折々で様々な顔を見せてくれます。

また、新宿エリアで有名なのが歌舞伎町です。
現在では世界的にも有名な繁華街の一つですが、歌舞伎町が誕生した当時、街の性格は全く異なるものでした。東京大空襲で被害が大きかった新宿エリアは、一面焼け野原状態になり、その後、復興事業の一環として歌舞伎の演舞場が建てられたのが歌舞伎町の始まりです。演舞場を中心に芸能施設を建設し、新東京で最も健全な家庭センターを目指していたのですが、財政困難のため敢え無く実現できなかったと言われています。
ですが、歌舞伎町は飲食店や映画館などが集まって独自の成長を遂げ、昼夜問わず人々で賑わう街となりました。
繁華街だけではなく雑居ビルや賃貸事務所も多く、西武新宿線や新宿駅東口まで徒歩5分程度という好立地から、多くの企業が利用しています。

四谷エリア

四ツ谷駅を中心としたこのエリアは、須賀神社など歴史ある寺社が多く、また皇居などが近いことから緑が豊富で、落ち着いた雰囲気の中に事務所が構えられると、多くの企業が賃貸事務所を利用しています。

新宿区内でも特に四谷と若葉町に寺社が多い理由には、1634年に江戸城に外掘を設置する際、麹町エリアにあった寺社が移転してきたためと言われています。その頃から四谷エリアは多くの商人や職人たちで賑わいを見せ、1894年には現在のJR中央線の原点でもある甲武鉄道が開業し、製造業が益々発展を迎えました。

四谷という地名は、4軒の茶屋が「四ツ屋」と呼ばれていたことから由来している説と、四つの谷から「四ツ谷」と呼ばれるようになったという説があります。現在でもどの由来が正しいのか判明してはいませんが、四谷という名が江戸時代以前からあったということはわかっています。

また、四谷といえば「四谷怪談」が大変有名です。主人公は「お岩」という女性で、日本で最も有名な怪談であり、歌舞伎や落語で人気の高い演目です。現代でも人気が高い四谷怪談は、映画や舞台も制作されているため、その中で様々なバリエーションを楽しむことができます。

四ツ谷駅周辺には、グルメな人には嬉しい隠れた名店が多いことでも有名で、新宿・神楽坂エリアから足を運ぶビジネスマンも数多く見られます。JR中央線・総武線、東京メトロ丸の内線など複数の路線を使うことが出来ることから、交通の利便性も大変優れており、他エリアと比べて中小の賃貸事務所が多いのが特徴です。

高田馬場エリア

高田馬場エリアには早稲田大学を始め、多くの大学・専門学校・予備校が集まり、新宿区内でも有名な学生街です。学生で賑わうことから、このエリアは昔から低価格を売りにする飲食店が多く、若者だけではなくサラリーマンやOLにも人気があります。ラーメン激戦区としても知られており、遠くからこの地へ訪れる方も多く見られます。

江戸時代、高田馬場には旗本たちの馬術訓練場や流鏑馬(やぶさめ)を行うための馬場があり、今でも穴八幡宮に流鏑馬像が残っています。
毎年、体育の日には近くの都立戸山公園箱根山で流鏑馬奉納が行われており、当日は多くの観光客が訪れます。始まりは8代将軍徳川吉宗の時代からと言われており、歴史深い神事の一つ。明治維新後は暫く執り行われていませんでしたが、1934年に再興されました。流鏑馬が執り行われている戸山公園箱根山は標高44.6メートルで、山としてはとても低いのですが、それでも新宿では最も高い山であり、春には桜の名所として多くの花見客で賑わいます。
新宿という都心にありながらも緑が多く、お昼休憩や息抜きしたい時に立ち寄れる都会のオアシスでもあります。

高田馬場エリアは学生と飲食店が多いイメージではありますが、JR山手線、西武新宿線、東京メトロ東西線など交通の利便性が良いことから、賃貸事務所の需要も増えています。
新宿エリアと比較すると小さめの賃貸事務所が多く、賃料もやや低く設定されている所が多く見受けられます。

東京の中心である大都会新宿区は、新宿駅東口を中心に賃貸事務所や高層ビルが立ち並ぶビジネス街である一方、少し歩けば緑が豊富で歴史深い地域です。
商業施設も古くから栄えており、伊勢丹、京王百貨店、高島屋など大型デパートや、ヨドバシカメラ、開店当時は国内最大級であった紀伊國屋書店本店など、長い歴史を有する有名店がこの地域に集まっています。
賃貸事務所のバリエーションも豊富な新宿に、是非事務所を構えてみてはいかがでしょうか。

文 : 釜井 知典

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