港区で未来を描きたくなるコラム

今なお新陳代謝を繰り返す、港区の再開発事情

文 : 浅見 直希

2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」に向けての取り組みや、「アジアヘッドクォーター特区」構想に基づいた外国企業誘致プロジェクトが進展する中、近年、山手線の内側地域を中心に連続的な再開発が行われています。

その中でも特に注目を集めているのが、港区!

テレビ局や総合広告代理店、情報通信産業系などの華やかな業種・企業を中心に数多くの大手やベンチャーが集い、ハイスペックな賃貸オフィス・事業用不動産物件が林立するこの日本有数のビジネスエリアでは、今まさに、かつてない“再開発ラッシュ”が巻き起こっています。

2004年には品川駅東口に広がる港南で「品川グランドコモンズ」が竣工。2007年には運河に囲まれた「芝浦アイランド」が整備されました。交通ネットワークも整えられ、2015年には「東北縦貫線・上野東京ライン」が開業し、東北本線(宇都宮線)・東海道本線・高崎線・常磐線の相互直通運転が実現。さらに2014年には、「マッカーサー道路」と俗称されていた環状2号線の未整備区間・新橋〜虎ノ門間も開通し、現在では「新虎通り(しんとらどおり)」として、赤坂・虎ノ門と新橋・汐留の両エリアを有機的に接続する役割を果たしています。

このように、新陳代謝を止めることのない港区。今回の「港区コラム」では、2018年度以降に竣工・完了予定の大型再開発プロジェクトについてご紹介していきたいと思います。

「東京の玄関口」として世界を繋ぐ、虎ノ門ヒルズエリア

老朽化が進んだ小規模ビルの密集地・虎ノ門という印象は、今や昔。現在の虎ノ門は異次元のスピード感で一体的な都市開発が進められており、日に日に街の表情が変化してきています。

銀座線・虎ノ門駅に加え、日比谷線・虎ノ門新駅(仮称)や新虎通り、桜田通りなど、豊かな動線を集約する街・虎ノ門。「虎ノ門ヒルズ」の誕生を起爆剤に、そのロケーションとしての潜在力は華やかに開花し、今日では、世界と都心を結ぶ、まさに新時代における「東京の玄関口」として認知されるに至っています。

そんな国際新都心・虎ノ門ヒルズ周辺地区では、既存の「虎ノ門ヒルズ森タワー」に隣接するかたちで、さらに以下の3棟の高層ビルが建設される予定です。

(1)「(仮称)虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」
オフィスを中心とした構成で、2019年12月竣工予定。

(2)「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」
住宅・レジデンス約600戸を供給し、会員制ヒルズスパも併設。2020年4月竣工予定。

(3)「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」
オフィスのほかホテルや店舗から構成される都市再生モデルプロジェクト。日比谷線「虎ノ門新駅(仮称)」と一体開発。竣工目標は2022年度。

オフィス棟「ビジネスタワー」からは、虎ノ門駅、霞ヶ関駅、内幸町駅、神谷町駅、新橋駅、そして、溜池山王駅の6駅が利用できます。加えて、虎ノ門駅、虎ノ門新駅にも直結される予定。さらに近接する「森タワー」とは、2階部分でペデストリアンデッキによって連結されます。

このように、交通インフラとも一体化した虎ノ門ヒルズエリアの開発案件は、「六本木ヒルズ」誕生に比肩しうるほどのインパクトと期待感をもって、国内外からの熱視線を集めています。この超大型複合都市が、新時代を牽引するグローバルビジネスセンターへと成長していく日も遠くはないかもしれません。

【虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーのオフィススペック】

基準階貸室面積は約3,000平米(900坪超)。さらに、フリーアクセスフロア100mm(特殊階300mm)、天井高3,000mmと、効率的なオフィスレイアウトを助けるゆとりある親切設計が実現されています。床から天井までフルハイトサッシが採用されているので、執務スペースの開放感と明るさ・眺望は抜群。女子トイレには小物入れとパウダーコーナー、共用部にはゆったりとしたリフレッシュエリアも設けられています。

BCP(事業継続計画)に対する配慮も万全で、各階には災害備蓄倉庫が完備。非常時の電力供給として、中圧ガス(都市ガス)を利用したコージェネレーションシステムと非常用発電機が実装されています。

【虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーの付帯設備】

・イノベーションセンター
大企業のエグゼクティブから新進気鋭の起業家まで、多分野に及ぶイノベーターたちの出逢いを創出する交流拠点。4階に開設。

・店舗スペース
地下1〜3階に商業空間を設置。近隣に住むグローバルプレイヤーたちの生活を支えるクオリティの高い飲食施設や食品スーパー、その他、物販店舗等が配されます。

・公園
1階のエクステリアのひとつとして公園が整備され、森タワーのオーバル広場や愛宕山などと共に豊かなグリーンベルトを形成。

・バスターミナル
空港リムジンバスやBRT(バス高速輸送システム)も発着可能。東京五輪では晴海の選手村と各スタジアム・競技場とを結び、選手や観客の主要な移動拠点となる予定。

京急グループが描く未来図・品川駅周辺開発事業

国際交流拠点化に向けて大開発が画策されているのは、虎ノ門だけではありません。品川駅エリアでも、駅周辺に6万㎡もの広大な土地を所有する京急グループによって、日本経済を刺激する壮大な未来図が描かれています。

【SHINAGAWA GOOS(品川グース)の建替え】

西口地区(高輪)にある大型ビジネスホテル「品川グース(京急EXイン品川駅前)」を建て替えて、オフィス・商業・ホテル・住宅等が配されたシンボリックな大規模複合施設を開発。2019年度の着手が目指されています。機能的で景観・環境への配慮にも行き届いた駅前広場を設置し、カンファレンス(国際会議、学会)等にも活用可能な施設も整備。ビジネストラベルの需要を幅広く満たすMICE機能の充実化が図られます。

【品川駅における取り組み】

京急品川駅の地平化(2面4線)により東西自由通路をフラットにつなげ、3箇所の踏切問題を解消。乗り換えや東西への行き来に対する利便性・安全性の向上を目指します。

東海旅客鉄道(JR東海)・リニア中央新幹線が開業する2027年に照準を当てて、エリアとしてインバウンド施策の強化が求められている品川地区。観光事業者や地元自治体等と相互に連携し、他地域との交流体制の強化も視野に入れながら、京急グループは地域一円での総合開発の地図を描いています。

新橋一丁目プロジェクト

霞が関の官公庁、にぎやかな飲食店街が並ぶ新橋駅周辺、IT・メディアの拠点地・汐留駅周辺、そして、高級感あふれる丸の内・銀座のビジネス街。これらの錚々たる一等地を結ぶ“経済的・文化的結節点の創造”を目指すのが、この「新橋一丁目プロジェクト」です。コンセプトは「境界の架け橋」。2019年度上期(7月)の竣工が予定されています。

【やわらかく憩えて、創造性が刺激される空間】

エントランスロビーには自然素材が多用され、格調高い設え。1階には緑豊かなピロティ空間が広がり、車道からスムーズに敷地内に入ることができるタクシー・車寄せも整備されます。高層階(18〜27階)には、JR九州ホテルズの「ブラッサム」が入る予定です。

【オフィススペック】

エレベーターは低層・高層でバンク分けされており、ストレスフリー。貸室は4面採光の整形無柱空間で、640角グリッドシステム天井や細かく分割されたゾーン空調等も採用されます。レイアウトの自由度は極めて高めで、部署や職位などの垣根を超えたクリエイティブなコミュニケーションを促進するフリーアドレスにも対応できます。

さらに、BCPサポート体制も完備。ブレーキダンパー、オイルダンパー、そしてアクティブマスダンパー(※AMD)といった3種類の制振装置を効果的に配置し、さらに、1階に防潮板を設えることで建物を浸水から守ります。加えて、屋上には太陽光発電装置も設置。多重的なバックアップは、事業継続への安心感を与えてくれます。

※AMD(Active mass damper)とは、建物頂部に設置し、電気信号によって重りを稼働させることによって地震の揺れを打ち消す制振装置。小さな揺れでも効果が期待できるとされています。

その他、港区の注目再開発

上記以外でも、港区では再開発案件が目白押し。すべてをご紹介することは叶いませんが、主要案件の概略だけでも以下でご紹介したいと思います。

【新橋・汐留エリア】

・(仮称)新橋四丁目プロジェクト
新時代の東京のシンボルストリート・新虎通り沿いに位置している当計画地。「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づいてエリアマネジメントが進められ、「東京シャンゼリゼプロジェクト」の対象地区にも指定されている要注目街区です。そんな好立地に、新しくオフィスビルが建設されます(竣工・2018年9月予定)。

[施設構成]
・3階にインキュベーションオフィス(起業・創業支援オフィス)
・ルーフガーデン(植栽が施された空中庭園)
・新虎通りと連動したイベントスペース(企業プロモーション利用可能)
・近距離の移動効率を向上させるシェアサイクルボート(自転車18台)

[貸室内概要]
自動調光機能を有するLED照明や断熱性能に優れたLow-Eペアガラス、窓際付近の温度・湿度を効率的に調節するペリメーター空調等を採用することで、大幅な省エネルギー化を実現。環境性能評価「CASBEE」Aランク相当の性能を有するように設計されています。また、執務スペース内にはサーバールームやパントリーなども配置でき、局所排気対応エリアもあるため喫煙室も設置できます。

ちなみに、建物名称は「新虎通りCORE(コア)」に決定済み。公開されている外観パースを眺めると、立方体(キューブ)を交互に埋め込みながら積み上げたといった様子で、さながら近未来の建造物のようです。

・(仮称)新橋四丁目プロジェクト
野村不動産が提供するプレミアム・ミドルサイズ・オフィス(PMO)シリーズが、東新橋にて、2018年4月(予定)に新たに誕生します。第一京浜国道沿い、イタリア街の西隣に位置し、大門駅、浜松町駅、御成門駅、新橋駅、汐留駅の5駅が利用可能な好立地。JR、東京メトロ銀座線、都営地下鉄大江戸線・浅草線・三田線、東京モノレール、東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)の7路線が利用できるマルチアクセスは大きな魅力です。
[オフィススペック]
全面ガラスと壁面のブラックによるコントラストという、PMOシリーズを象徴するデザインが踏襲されており、非常にスタイリッシュで視認性の高い外観が特徴的。

天井高2.8〜3.0メートルの明るく開放的な柱無空間では、オフィス家具や什器類もストレスなく配置できます。床加重500kg/㎡(ヘビーデューティーゾーン1,000kg/㎡)、コンセント容量、電気容量60VA/㎡(75VAまで増強可)と全体的にハイグレードで、PMOブランドに相応しいオフィススペックを誇っています。

※ちなみに、ブランド力のある港区芝のアドレスでも、同じPMOシリーズの「PMO田町東(旧称:PMO田町II)」が新しく登場します(2018年2月末竣工予定)。

【赤坂・虎ノ門・青山エリア】

・(仮称)北青山二丁目計画
「赤坂ツインタワー」の跡地をメインとした敷地では、森トラストによって再開発計画の策定が進められています。森トラストによると、この開発の主なコンセプトは以下の2点。

(1)国際競争力を高める文化発信・観光支援機能の導入
大名・旗本屋敷などの武家屋敷が点在し、赤坂氷川神社など歴史を今に伝える寺社仏閣・名所も多い土地柄、外国人旅行者にアピールできる観光資源が豊富な赤坂エリア。そんな赤坂エリアで、インバウンド需要を吸収できる滞在施設や日本文化・ブランドの発信施設、移動手段を提供する。

(2)歩行者ネットワークの強化と緑地の推進・防災性の向上
歩行者通路を重層化し、電線類は広域的に地中化。合わせて5,000平米にも及ぶ緑地を整備し、環境負荷の低減と防災対応力の強化を図っていく。

また、地域資源である「江戸型山車」の修復・展示も施設内で実施し、赤坂のカラーを演出。工期予定は2019年から2024年度と発表されています。

・(仮称)赤坂二丁目プロジェクト
場所は、青山通りと外苑西通りが交差する南青山三丁目交差点の角地。外苑前駅から徒歩すぐのところに位置するショッピングセンター「青山ベルコモンズ」の跡地で進められている計画です。ちなみに、「青山ベルコモンズ」は黒川紀章設計事務所による設計で、往時はエリアのランドマークとして多くの人たちに親しまれていました。

その存在感やニーズを踏襲するかたちで、この再開発計画では、多種多様な人が集い交流できる場の創出が目指されています。ファサード(建物正面部分)は視認性の高いガラス張りで、低層部はそれぞれに異なるデザインを採用。地下2階・地上20階建て。構造は鉄骨造(一部、鉄骨鉄筋コンクリート造)です。商業施設・店舗やホテル(客室・ロビー)などからなり、最上階にはレストランが入ります。

テナントのBCP対策も抜かりなく、屋上に太陽光パネルが設置されるほか、敷地内の広場には、災害などの非常時に炊き出し用のかまどとして使うことができる「かまどベンチ」も置かれる計画。竣工は2020年4月末の予定です。

【品川・浜松町・田町エリア】

・日本生命浜松町クレアタワー交通の要衝・浜松町駅へ徒歩2分、大門駅には直結、さらには新幹線発着駅の東京駅・品川駅へもアクセスしやすいという圧倒的な利便性を誇る好立地にて、新たに建設が進められているのが、この「ニッセイ浜松町クレアタワー」の開発案件です(2018年8月竣工予定)。

[オフィススペック]
貸室は3方面開放のメガフロア。オプションとして、上下階をつなぐ貸室内階段やテナント専用EPS(電気設備の配線を通すスペース)も設置可能で、オフィスとしての拡張性は十分です。

1Fのセキュリティゲートを始め、最終退出が確認されたフロアにはエレベーターが停まらなくなるエレベーター不停止制御、各フロア・貸室扉横に非接触ICカードリーダーなどが設置。さらにB1Fにはデリバリーセンターが構えられ、配送会社など外部者のオフィス立ち入りを制限するなど、徹底された多重セキュリティが大きな自慢です。

・msb Tamachi(ムスブ田町・田町ステーションタワーS)オフィスだけでなく、慶応義塾大学や芝浦工業大学、東京工業大学等の学校、住宅、公的機関など、多様性に満ちた建物が立ち並ぶ田町駅・三田駅の周辺エリアは、リニア開通や山手線新駅誕生の話題も相まって、ビジネス街としての期待度が急上昇中!

ウォーターフロントの地の利を生かして、都内の主要エリアや空港へダイレクトでアクセス可能。「都バス」や「お台場レインボーバス」、そして、港区コミュニティバス「ちぃばす」(運賃100円)等に加え、日の出や芝浦から発着するクルーズを活用すれば東京ビックサイトや浅草にも簡単にアクセスできます。

ステーションタワーのS棟(2018年5月竣工予定)が入る駅前大型複合開発の新街区「ムスブ田町」の敷地面積は東京ドーム1.6個分にも及び、グリーンガーデンやN棟、ブルマン東京田町(ホテル)が内包されます。また、病院、芝浦公園、「みなとパーク芝浦(区役所総合支所等が入居)」などとも区域的に隣接。それらの施設間で日本初のスマートエネルギーネットワークが確立されている点も、大きなアピールポイントです。

このように、枚挙にいとまがない港区の再開発案件。盛んな新陳代謝を繰り返し、まさに“東京大改造”ともいうべき活況を迎えようとしている都心部の、その渦の中心のひとつである港区の動きに、ぜひこれからも注視していきましょう。

文 : 浅見 直希

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