溜池山王駅周辺のコラム

溜池山王を中心とした赤坂・虎ノ門はグローバル時代の新たな活動拠点へ

文 : ken nack

港区のなかでも再開発が活発に行われているのが赤坂から虎ノ門にまたがるエリアです。隣接する六本木も含めると、近年は超高層の複合ビルが次々に誕生しており、今後ますますの発展が期待されています。

とくに、東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、泉ガーデン、アークヒルズ、赤坂Bizタワー、虎ノ門ヒルズといった既存のランドマークを中心に、それらの超高層タワーに隣接する形で六本木グランドタワーなどの新たなビルが誕生し、新しい街づくりが続けられているのです。

もともと港区には、日本にある外資系企業の1/4と、半数以上の大使館が集中しています。公園面積が多く緑が豊かな点も魅力ですし、ミシュランの星獲得店舗数が東京で一番多いのも港区です。暮らしやすい環境と働きやすい環境が整っていること、あるいは外国人居住者が多いというエリア特性も重要なポイントです。

つまり、このエリアはオフィスだけでなく、最高級のホテルやレジデンスも備えることで、外資系企業や世界で活躍できるベンチャー企業などのアジアにおける活動拠点となるポテンシャルを秘めているのです。

実際に、国際競争力の強化を目的とした特定都市再生緊急整備地域や、アジア地域における企業拠点を東京に集積させようというアジアヘッドクォーター特区(東京都心・臨海地域)、東京をニューヨークのウォール街やロンドンのザ・シティと並ぶ金融拠点としていく東京国際金融センター構想エリア(虎ノ門・六本木)などに指定されています。これからのヴィジョンとして、世界中から人材と資本、情報が集まってくるグローバルビジネスの中心地として生まれ変わることを目指しているというわけです。

本コラムでは、環状二号線(新虎通り)に絡んだ再開発計画のなかから、赤坂と虎ノ門エリアの人の流れを大きく変える可能性を持つプロジェクトをご紹介します。

自然と暮らし、ビジネスの共存を目指す赤坂インターシティAIR

最初に紹介するのは、赤坂1丁目で進められているプロジェクトです。赤坂は、江戸時代から江戸城を囲むように武家屋敷が並んでいた品格のあるエリアです。明治23年にアメリカ大使館が設置されて以降は、外交やビジネス、ホテルなどの都市機能が強化され、国際的な街へと変わっていきます。

そして現在では、赤坂Bizタワーやアークヒルズなどの超高層ビルが建ち並び、隣接する虎ノ門と一緒になって開発が続けられ、最先端の大街区として大きな注目を集めています。国際都市として高度人材が働きやすい環境を整備することで、成長産業であるIT関連、医療・化学関連、エレクトロニクス関連、あるいは世界規模のスケールを持つ金融・証券、航空機産業などの国内外の有力企業が集積しているのです。

そんな赤坂エリアでは、赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業によって地上38階、高さ200m超の新しいランドマーク「赤坂インターシティAIR」が誕生します。この高層複合ビルの竣工によって、床面積の広い大規模賃貸オフィスの供給という面だけでなく、都市と自然、暮らしとビジネスが密接に交わり、街と企業、働く人がともに成長していける最先端エリアへと進化します。

たとえば、赤坂インターシティAIRでは、水景を含む広大な緑地を確保しています。環状二号線(新虎通り)につながる赤坂・虎ノ門緑道との一体化を目指し、回遊性の高い開かれた広場、アクティブな街空間を実現します。また、交通利便性も大きな魅力で、東京メトロ銀座線・南北線が乗り入れる溜池山王駅に直結することで、そのまま千代田線・丸ノ内線の国会議事堂前駅も利用可能。地下通路でつながっているため、雨天でも濡れることなく行き来ができます。さらに、東京メトロ日比谷線の神谷町駅も徒歩10分という立地です。

そのほかにも、飲食店舗や商標施設などが充実。クリニックモールや託児施設なども入居する予定で、働く人を積極的にサポートしていきます。貸会議室や貸ホールなどがあるコンファレンスセンターも整備。ミーティングだけでなく、セミナーや説明会、株主総会などでも利用できます。

新虎通りの整備と新駅の誕生で加速度的に発展する虎ノ門エリア

次に紹介したいのは、赤坂1丁目のすぐ南側。虎ノ門ヒルズの誕生以降、注目エリアとして話題を集めている虎ノ門です。今後も複数の超高層タワーが竣工予定で、道路や鉄道などの交通インフラと一体化した再開発が進められています。そのなかでも再開発計画にまつわる大きなトピックになっているのが、東京メトロ日比谷線の新駅誕生と、バス高速輸送システムのBRT運行開始、新虎通り沿いの整備計画です。

日比谷線の新駅は桜田通りの下に整備され、駅東側に位置する虎ノ門ヒルズ直結となる予定。銀座線虎ノ門駅とも地下通路でつながります。この新駅構想により、独立峰のようにただ1棟そびえていた虎ノ門ヒルズ森タワーを中心としたエリアの利便性が向上し、駅直結の機能を持つ一帯開発が加速していくのです。

森ビルによる再開発計画では、駅西側に誕生予定の虎ノ門ヒルズステーションタワー、虎ノ門ヒルズの北側に誕生する虎ノ門ヒルズビジネスタワー、南側の虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワーを空中デッキで繋いで自由に行き来ができるようになります。つまり虎ノ門ヒルズ森タワー単体ではなく、新駅と虎ノ門ヒルズ森タワーを中心とした計4棟の超高層タワーからなる複合施設が虎ノ門ヒルズとしてのひとつの完成形となるわけです。

そして、バス高速輸送システムであるBRTの計画では、新虎通り(環状二号線)を中心に、虎ノ門から新橋、勝どき、さらには臨海副都心までが結ばれます(2019年の運行当初は新橋駅と勝どき、新橋駅と豊洲駅の2系統)。路線バスと路面電車の中間のようなイメージで、収容客数の多い連結バスも使用する高い輸送能力と時間に正確な運行が魅力です。さらに普通の路線バスと違い直線に近いルート設定になるため、目的地へスピーディに到達できます。虎ノ門ヒルズでは、地下鉄の新駅に併設する形で、BRTと空港リムジンバスを含むバスターミナルが整備される予定です。

新虎通り沿いの整備計画では、東京都が「東京シャンゼリゼプロジェクト」の第1号に指定しました。名前の通り、パリのシャンゼリゼ通りのように日本を代表するオシャレで賑やかな大通りにしようという計画です。オープンカフェなどを設置しやすいよう道路の専有規制を緩めたり、1階に飲食店や商業施設を入居させることを条件に高層ビルが建てられる制度を導入したりしています。

現在は、日比谷通りとの交差点角地で新橋29森ビル再開発プロジェクトが進行中。ベンチャー企業やメディア・クリエイティブ系の企業が集積しやすいように小割りのインキュベーションオフィスを増やしたり、イベントができるスペースなどを開設したりといった予定があります。そのほかにも、西新橋二丁目計画として2つの街区で再開発が進められています。

今後10年で、約22.8万坪のオフィスを供給

赤坂と虎ノ門エリアでは、六本木ヒルズのように国際的な新都心グローバルビジネスセンターとしての役割を果たしていくため、2020年の東京オリンピック・パラリンピック前後の竣工を目指してそのほかにも複数の大規模再開発が進行中。以下は竣工予定年度別の再開発計画です。

2017年赤坂インターシティAIR
2018年新橋29森ビル再開発プロジェクト
新虎の門病院再開発事業
2019年BRT(バス高速輸送システム)運行開始
虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー
虎ノ門ヒルズビジネスタワー
虎ノ門トラストシティワールドゲート
虎ノ門駅前地区第一種市街地再開発事業
ホテルオークラ建て替え計画
2020年東京メトロ日比谷線の新駅誕生
東京オリンピック・パラリンピック
2022年虎ノ門ヒルズステーションタワー

このほか、赤坂ツインタワーの建て替え計画もあり、過去30年間で供給されてきた約22.7万坪よりも多い、約22.8万坪の賃貸オフィスがこれからの10年で供給される予定です。

BRTの運行と新駅の誕生は大きなニュースになりますし、ビジネスエリアとしての機能強化、注目度アップも期待されます。そして、新しく高層複合ビルが竣工することでヒト・モノ・情報が集まってくることが期待でき、ビジネスに必要な要素がどんどんと集まってくれば、新たな化学反応が起きるような刺激も増えていきます。ですから、今後、事業拡大や移転を計画されている方にとって、赤坂や虎ノ門は要チェックのエリアだと言えるのです。

文 : ken nack